【不思議5】パンダの指は6本、いや7本!?
「人間をはじめ、ほとんどの哺乳類は指が5本だが、パンダは指が多い」
というのは、比較的知られている「パンダの不思議・基本編」というところだろう。ただ、いまだに「パンダの指は6本」と記している記事も多い。だが、最近の研究で、実はパンダには指が7本あると判明したのだ。
しかも、1999年にその発見を果たしたのは日本の研究者! 現・東京大学総合研究館教授(比較解剖学)の遠藤秀紀氏が発見したもので、正確には親指側が「種子骨」で、新たに「7本目の指」とされたのが小指側の「副手根骨」という突起状の部分だ。
写真を見てもわかるように、ほかの5本の指がまっすぐ前を向いてしまっているので、このままではうまく竹やササを掴めない。そこで、この6本目と7本目の「指」をうまく使っているのだ。もちろん、これは竹をつかみやすいように進化したと考えられている。
【不思議6】パンダ舐めるな!ヤツらは肉も喰らうぞ
日がな一日、竹を食って暮らす愛くるしい生き物・パンダ。平和の象徴ともされた彼らだが、2010年代に入って、次々と衝撃的な「パンダの本性(?)」に関するニュースが世界を駆け巡った──。
「パンダが民家を襲撃! 地元民が飼っていた子羊を喰らう!!」(2013年2月/四川省宝興県/中国網日本語版)
「四川省楽山市でパンダが山羊を襲い喰らう!」(2017年2月/四川省楽山市/China Plus)
「野生のパンダが肉を喰らう姿の撮影に成功!」(2021年12月/陝西省仏坪/AFPBB)
そう、ヤツらはそもそも肉食だったのだ。そして、今も……。今でこそパンダは竹を食べて暮らしているが、先述の通り消化器系や歯の構造は肉食のクマのまま。研究者によれば、現在でも時折、卵、小動物、昆虫、死肉などを食べることがあるのだという。
しかも、3つ目のAFP伝のニュースでは、現地に棲息する「ターキン」という大型のオスで体長2メートル超、体重400キロにもなるウシ科の動物を喰らっている。パンダは見かけによらず猛獣ということ。確かに、骨格標本を見ると立派な牙があるのが見て取れる。愛くるしい見かけで舐めていると、痛い目に遭いそうだ……。
【不思議7】四川省の秘境には極彩色の「人喰いパンダ」も!?
さて、ここから先は都市伝説というか、地元・四川省で流れるパンダを巡る「ヤバい噂」。
情報源は90年代半ば、四川省奥地の通称「中国のバミューダ・トライアングル」こと黒竹溝という秘境に調査に入った早稲田大学探検部のメンバーだ。この黒竹溝、先ほどの「山羊を喰らったパンダ」事件があった楽山市南端、省都・成都から約190キロほどの「峨辺イ族自治県」にある。
おどろおどろしい二つ名がついた理由は、次々と黒竹溝に入った家畜や人間が消えてしまうことからだといい、現地の人々もうかつに近づかない危険ゾーンだそうだ。そして、その地で「四川省七不思議」の一つとして、探検部のメンバーが耳にしたのが「人喰いパンダ」の話なのだという。
曰く「極彩色(花柄とも虹色とも?)のパンダが人や家畜を襲い喰らう」というもの。花柄で人喰いって……最初に伝え聞いた時はバカも休み休み言えと思ったが、前述したように、それから約20年後、ほぼ同じエリアで実際に家畜を喰らうパンダが出現。そして、「次々と家畜や人が消える」という話も合わせて考えると……中国5000年の歴史が生んだホラ話とも言い切れない気がするのだ。
『知らなかった! パンダ─アドベンチャーワールドが29年で20頭育てたから知っているひみつ─』
(アドベンチャーワールド「パンダチーム」:著/新潮社:刊)
「野生のパンダが肉を喰らう姿の撮影成功」(AFPBB NEWS/2021年12月1日)
「四川省で野生パンダが民家侵入。仔羊を盗み食い」(中国網日本語版/2013年2月26日)
「Tired of bamboos? Rare wild panda eats goat in Sichuan(竹にうんざり?四川省で希少な野生パンダが山羊を喰らう)」(China Plus/2017年2月25日)