■京都・三条寺町「幽霊が出る居酒屋」の続報入手!
読者の皆さん は連載第4回でご紹介した、京都・三条寺町の「複数の霊が居座る酒場」を覚えておいでだろうか。俳優の滝晃太朗(たき・こうたろう)さんがアルバイトしていた、監獄風の居酒屋。そこには何体もの幽霊たちが漂い、店内にナワバリを作っていた。あの霊たちはその後どうなったのか、気になる読者もいるだろう。
滝さんによると、その後も霊たちは各自がテリトリーとする個室などに居続けたものの、特にこれといって悪さや騒動を起こすこともなかったという。
ところが、だ。
監獄風居酒屋は数年後に移転し、例の建物には別会社の和風コンセプトレストランが入った。こちらは2018年、何の前触れもなく突然閉店している。人気店だったにもかかわらず、「明日閉店します」のアナウンスのみで廃業してしまった。何かワケアリな雰囲気を感じてしまうのは、筆者だけだろうか?
そして件(くだん)の物件にはなんと、本物のお化け屋敷が作られた。しかしこちらも2022年、 建物の老朽化を理由に閉業している。
どうにも、この建物自体に“いわく”がある気がしてならない。そう勘が働いた筆者は、お化け屋敷を運営していた女性にコンタクトを取ってみた。
すると、予想だにしない事実が判明したのだ――……。
■「もともとはお寺が……」 関係者が語る建物の歴史
(怪談師でホラープランナーのCocoさん。X&Instagram:@coco_horror)
「あの建物は、来る人来る人なにかしらを視ていて、とにかく心霊現象の目撃談が絶えない物件でした」
そう語るのは、京都在住の怪談師Cocoさんだ。お化け屋敷のプロデュースやホラーイベントを手がける「ホラープランナー」も務めている。例の建物にあったお化け屋敷も、Cocoさんが運営に携わっていたものだ。建物の謎を聞いてみたところ、「あの建物の歴史や私が関わる以前に起こった心霊談は、一部、伝聞や噂話もあるんですが……」と慎重に言葉を選びながら、彼女が独自に調査した“歴史”を教えてくれた。
「私が知る範囲だと、あの建物がある場所はもともとお寺の土地だったそうです。事情があってお寺が土地を手放し、のちに映画館をメインとした商業施設が建ちました。約65年前にはすでに映画館があったようです」
その商業施設の地下には、一時期“大人のお風呂屋さん”も入居していたそうだ。時代を経るごとにゲームセンターや酒場と施設は形を変えていき、バブルの頃には店員がローラースケートを履いて接客をするBARのような店も開かれていたという。
「建物に保管されていた資料によると、監獄風居酒屋の撤退後に完全改装して、和風のコンセプトレストラン(以下、和レストラン)を作ったみたいで。だから内部の構造は変わっているはずですが……当時、そのお店 で働いていた人によると、『大広間にサラリーマンの霊が出る』とウワサされていたようです」
この話を聞いたとき、思わず背筋がゾクッとした。以前の取材で、俳優の滝さんはこう言っていたのだ。「大宴会場にサラリーマンの幽霊がいた」と。店の内装が変わるに伴い、大広間の場所も変わっているかもしれない。同じ霊なのか定かではないにしろ、こんな偶然があるだろうか。