■ゴジラを超す巨大生物が深海に!?
「体長215m」と聞いてもピンとこないだろうが、ザックリいえば東京都庁第一本庁舎(高さ243m)や池袋のサンシャイン60ビル(240m)クラスの生物と考えていただければいいだろう。日本が誇る怪獣の王・ゴジラですら、シリーズ最大クラスの「シン・ゴジラ」版でも115m、つまりその倍ということだから、いかに「ブループ」を放つ深海生物が巨大かわかるだろう。
とはいえ、そんなに巨大な生物が実在するのか? 例えば、化石から判明した古代の超大型ザメ、メガロドンのサイズは18m。地球上に存在していた最大の恐竜はアルゼンチノサウルスは体長30~45m。以前に電脳奇談の記事で紹介した、定説を覆す巨大魚竜(イクチオサウルスの一種)でも体長50mだ。
これまた電脳奇談の過去記事で紹介した「深海巨大症/巨人症」の例を挙げれば、「深海に生息する生物ほど、同じ種でも巨大化する」という事実はあるが、それにしても、200mを超す生物が実在するのか、なかなか信じがたいところだ。
■残念ながらその正体は……
実際、2000年頃まではフォックス博士らが提唱したブループ生物起源説は、「どんな生物かはわからないものの、何らかの生物が発した音だろう」と、学界でもおおよそ認められてきた。しかし、そこから10年後には、南極大陸における氷の融解などの氷河の動き、氷による海底のえぐりから生じる非地殻変動、いわゆる「氷震(氷河性地震)」がブループの発生源だという説がコンセンサスとなっている。
「単に氷河が崩れただけで?」と思われるかもしれないが、ものによっては阪神大震災や2016年の熊本地震並みのマグニチュード7クラスの地震動も引き起こすので、5000km離れた場所に届いてもおかしくはない。ただし、だ……。
実は深海から届く怪音はブループだけではなかったのだ。ブループに先んじて南太平洋で探知されたアプスウィープ(Upsweep)や1999年にペルー沖で発生したユリア(Julia)などがあるが、特にユリアに関してはいまだ海洋生物の可能性が指摘されている。
さらに、オカルト的な解釈を進めれば、南極大陸やその周辺海域といえば謎のUMA「ニンゲン/ヒトガタ」やら「ニューネッシー」、エジプトのそれを遥かに超す巨大ピラミッドやUFOの基地などなどきな臭い都市伝説が数々。さらに、ブループの発生源とされた座標は、なんとクトゥルフ神話の海底都市「ルルイエ」があった場所という指摘もある。果たして「自然現象説」だけで解明できたと言えるのだろうか……。