■個性溢れる人気怪談師が次々と…

上野奇々怪々
左からMCの島田秀平さん、ヤースーさん、ハニトラ梅木さん、田中俊行さん。

「怪談トーク・バラエティ」と銘打たれた第一部は、個性的な人気怪談師3人が登場した。

 

 まずは、沖縄出身、ユタの血を引く“視える怪談師”ヤースーさん。少年時代を描いた漫画『ぼくとおば~のフシギな話』がハートウォームな怪談で人気だが、今日は黒ニットキャップに黒シャツで決めた衣装で、島田MCから登壇早々「映画で最初にやられるギャング?」とイジられていた。

 

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ヤースー/吉本興業所属(NSC東京17期)の芸人にして、自らも「視える」怪談師として怪談番組やイベントで引っ張りだこ。沖縄県うるま市出身で祖母が「ユタ」という家系に生まれ、幼い頃から体験してきた様々な怪異を元にした怪談はファンが多い。YouTubeチャンネル「トクモリザウルス」は登録者数が去年1年で10万人増!と、いま最も注目の怪談師のひとり。

 衣装といえば、お次に登場のハニトラ梅木さんは、もちろん特製の「墓人間スーツ(?)」で今日も登場。墓でほとんど隠れているのに、首まできっちりメイクし、髪もセットしているのをイジられ、

 

「(この墓を)脱いだ時のことを考えてセットしてるんですよ!」

 

 と答えていた梅木さんだが、これが壮大なネタフリになっていたとは……。

 

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ハニトラ梅木/お笑い芸人で、“億り人”の投資家で、パチスロライターで、日本ハンドスピナー協会理事(!)で、心霊スポットソムリエにして「墓人間(!?)」である異才尽くめの怪談師。自身のYouTubeチャンネル『ハニトラ梅木の水曜日の怪談』では心霊スポットや事故物件の直撃ルポから芸人業界に伝わる怪談、さらには都市伝説までオールジャンルで怪異の魅力を伝える。

■北は岩手、南は熊本から来た怪談ファンも

 

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田中俊行/オカルトコレクター、怪談師。幼少期より奇怪なものや怪談話に魅せられ蒐集を始める。「稲川淳二の怪談グランプリ2013」を始め、数々の怪談賞レースで優勝。現在はYouTube「トシが行く」「不思議大百科」からTBS「クレイジージャーニー」まで様々なメディアで活躍。代表作に『呪物蒐集録』『あべこべ』『神戸怪談』など。

 そして最後は呪物・怪談蒐集家としてもさることながら、トリッキーなキャラも人気の田中俊行さん。本日も登壇早々、満面の笑みでピクトグラムのような謎ポーズを連発。思わず梅木さんから「サイレント(無言)でやるなw」とツッコミが入っていた。

 

 演者3人それぞれ、フリ―ダムすぎる登場に島田MCが「どんな3人なんだよ~」と笑いながら悲鳴をあげていたが、さて、どんなトークが展開されるのか?

 

 遠く岩手や熊本から来た熱烈な怪談ファンがいる一方で、なんと客席の大半が「怪談イベントは初めて」というお客さんだとわかり、「じゃあ、怪談を頑張って見せないと」(島田MC)と、トップバッターを任されたのはヤースーさんだった。

 

 

■さすが!笑いと怪談で緩急付けたトーク

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米軍基地内で見かけた「謎の空き地」について語るヤースーさん。

 沖縄の米軍基地にあるバーでバーテンダーのバイトをしていた時に体験した、ある種の「忌み地」にまつわる怪談を披露。さらにフリートークでヤースーさんが視える「黒いもや」の話題を交えつつ、「黒いもやといえば……」とハニトラ梅木さんの後輩が住んでいた、都内某所の事故物件にまつわる怪談へと……。

 

 ゾゾっと寒気がするような怪談と、楽屋トークのような笑いを交えたリラックスした空気感。恐怖と笑いの緩急ついたトークショーは、さすが実力派怪談師4人。怪談から怪談へとスムーズに繋げていくところは、まるで腕利きミュージシャンのジャムセッションのようだ。

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怪談初心者でも楽しめ、かつガチで怖い怪談を用意してきた梅木さんだったが……

 ただ、ここで野外ステージならではのハプニングも。梅木さんの事故物件怪談が佳境を迎えたところで「キ~ンコ~ン、カ~ンコ~ン♪」とチャイムが響いてきた! 壇上全員、苦笑しながらも、

 

「その部屋から、ただチャイムの音だけが聞こえてきたんですよ……」

 

 とアドリブを入れて、客席をどっと沸かせた梅木さんだったが、さらなるハプニングが彼を襲うことになったのだ──。

 

■フリ―ダムすぎる「よくないトシ」の犠牲者が!?

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【衝撃事件現場】大事な「墓」を剥かれてステージに転がる梅木さん。

 MCの島田さんはじめ、梅木さんのアドリブにツッコミを入れていたところ、後ろから忍び寄った田中俊行さんの手が「墓スーツ」に! 「あ~~!」と会場中に悲鳴と大爆笑が上がる中、ステージ上に転げながら墓人間の被り物を脱がされてしまった梅木さん。

 

「もう、こんな怪談イベントある~???」

「よくないトシが出てるよおおお!」

 

 とぼやく梅木さんの後ろで、“実行犯“の田中さんといえば、澄ました顔で墓スーツを被り「墓人間2号(?)」としてチョコンと座っていた──本日も自由すぎる田中俊行の真骨頂が見られた瞬間だ。ただ、梅木さんの叫ぶとおり前代未聞のハプニングだが、客席もステージもここでさらにギアが上がったので、これはこれで大正解。

 

 チャイム事件(?)で中断したものの、ステージ上の4人もノッてきてMCの島田さんまで新宿某所で起きた「霊道」が絡むとっておきの怪異の話を披露。怪談が怪談を呼ぶ心地よいグルーブ感で会場の聴衆もグイグイ引き込まれていく。

 

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怪談を語り始めると雰囲気が一変した田中さん。

 第一部のトリを務める田中さんは、さっきまでの暴走ぶりとは一転、オーソドックスな実話怪談ノリでタクシードライバーから蒐集した、不可解極まる怪談を披露。その後も「〇〇といえば……」「あ、その話ならボクも……」など次から次へと“怪談ジャムセッション”は時間いっぱいまで続いた。