■史上最も悪名高いダイヤ?

 

ホープ・ダイヤモンド
多くの人の命を吸い取ったとされる呪物「ホープ・ダイヤモンド」 画像:Public Domain, via Wikimedia Commons

 現在、アメリカのスミソニアン博物館で展示されている「ホープ・ダイヤモンド」は、世界で最も有名な宝石のひとつである。このダイヤモンドは、深い青色が特徴で、その美しさと歴史的背景、約45.52カラットという大きなサイズで非常に高い評価を受けている。

 

 また、映画「タイタニック」でヒロインのローズ(演ケイト・ウィンスレット)が身に付けていた巨大なブルーダイヤのペンダントは、このホープ・ダイヤモンドがモデルになっている(注1)。さらにアニメ「ルパン三世」などさまざまな漫画やアニメ作品にも登場したので、ご存じの方もいるだろう。

注1/実際に映画の中で登場するのは「碧洋のハート」というブルーダイヤで「あのホープ・ダイヤモンドよりも価値がある」と劇中で語られている。

 

 ただし、その一方でこのダイヤモンドには「所有者は呪われて死ぬ」という禍々しい伝説も語られており、

「歴史上最も悪名高いダイヤモンド」として知られる、いわば“特級呪物”でもあるのだ。


 以下、その血塗られた歴史を彩った数々の歴史上の人物や、「呪いの伝説」として語られる彼ら/彼女らの悲惨な末路、そして、背後に隠されたその真相を紹介していこう。

 

【関連写真】呪いのダイヤの犠牲者たち【12枚】
 

 

■インドの神像から盗まれた!?

 

ジャン=バティスト・タヴェルニエ

ホープ・ダイヤモンドの「呪いの連鎖」を生んだとされるタヴェルニエの肖像画。

画像:Public domain, via Wikimedia Commons

 ホープ・ダイヤモンドは、17世紀にインドで発見されたとされている。発見当時のサイズは112.25カラットで現在の3倍近い巨大さだったという。

 

 最初にホープ・ダイヤモンドを所有したのは、フランス人探検家のジャン・バティスト・タヴェルニエ。伝説によれば、ヒンドゥー教寺院で女神シータの彫像の目に嵌められていた2つのうち一つを盗んだため、気づいた僧侶が「あの宝玉を手にした者すべてに死を!」と呪いをかけたという。

 

 世にも希少なダイヤモンドを手に入れたタヴェルニエだったが、その呪いのせいで熱病に冒され悶死したとも、野犬(狼とも)に喰い殺されたとも言われている。そして、ここから悲惨な死の連鎖が始まった──。

 

【伝説の真相】
 実際には1666年(1642年説も)、インド南西部のコーラル鉱山でタヴェルニエが購入したとされる。彼自身は、その後も探検家兼宝石商として世界中を股にかけ、旅行記をはじめ数々の著作を執筆。晩年はピョートル大帝が治めるロシア・モスクワに移住。84歳の天寿をまっとうした。