世の中の悪いことはCIAのせいにしておけば、みなさん納得の20世紀も終わった。冷戦も終わってKGBもなくなり、サスペンス映画やスパイ映画は悪役に苦労するご時世だ。そんななかで、リアルスペクター、マジでガチのショッカーとして注目なのがDARPA(国防高等研究計画局)である。サイボーグ昆虫から脳改造まで、世界最強マッドサイエンティストの花園へようこそ。

 

■サイボーグ昆虫に植物スパイ

 

DARPA(国防高等研究計画局)は世界中の研究機関から、これはという研究を見つけると研究者を一本釣りし、潤沢な資金で軍事研究に従事させる 画像:Wikipedia

 DARPA(国防高等研究計画局)は米国防総省(通称・ペンタゴン)が管轄する軍事技術の研究機関だ。アメリカ中の大学の研究をチェックし、軍事技術に転用できるとわかれば研究者をスカウトしたり、資金援助を行なったりする。

 

 量子コンピュータ次世代偵察機の研究など、一見、真っ当な研究機関に思えるが、よくよく見ていくとやっていることは、改造人間で社会を転覆させようと考えるショッカーとあまり変わらない。

 

 たとえばサイボーグ昆虫だ。雄の蛾は数キロ先の雌のフェロモンをかぎつけるという。つまり、昆虫の嗅覚は最新のセンサーをはるかに上回るのだ。そこで、昆虫を生きた超小型偵察機としてサイボーグ化しようというのがHI-MEMS(Hybrid Insect Micro-Electro-Mechanical Systems)計画だ。

 

■エグ過ぎなサイボーグ昆虫実験

 

昆虫にコンピュータチップを載せ、神経とつないでリモコン操作する研究が進んでいる 画像:DARPA

 電子機器を昆虫によりフィットさせるため、幼虫の時点でデバイスを組み込む。成長になってサナギから出てくると体内に装置が取り込まれ、融合しているのだ。これは相当にエグい。いくら昆虫相手とはいえ、何かのタブーを越えた感じがある。

 

 サイボーグ昆虫の超小型通信機器の電源に核物質を使うといった研究も進んでいる。また派生技術として、昆虫の脳にAIをインストールし、超小型で省電力のコンピュータとして使う研究も行なわれている。

 

 DARPAでは昆虫だけならまだしも鳩やネズミのサイボーグ化も進めている。ここまで来てしまえば、人間のサイボーグ化まであと一歩。いや、もうすでに秘密裏に……?

 

 昆虫だけではなく植物もセンサーとして使う計画がある。植物の持つ化学物質感受性を利用し、遺伝子操作した植物を戦場にバラまき、毒ガスや生物兵器、核物質、電磁波、火薬臭などを感知するセンサーにしようというのが「APTAdvanced Plant Technologies)」計画だ。

 

 植物を使えば電池切れのない、恒久的なセンサー網が構築できるわけだ。「戦場にもきれいなお花が咲いているな~♪」などと油断していると、部隊の人数や装備が植物ネットワークで米軍に筒抜けになるのだ。