京都で工務店を営む田宮翔太さん(仮名・50代男性)が語る、職人だけが知る建築業界のコワい話。前回は、ベテランの田宮さんも震え上がった、とある現場で起きた不気味すぎる怪異体験を語ってもらった。だが、田宮さんいわく、この現場ほどではないが「アクシデントが起きやすい場所」はあるのだとか……。

 

怪異の起こる現場は決まって…

 

空き地のイメージ

住宅街の中のポツンと空いた土地。気にはなるが…… (写真はイメージ)。

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「そういう場所は大体、何か得体の知れない重さみたいなものがあるんですよ。なんというか、どよ~んとした空気感。で、『あれ、なんかここ嫌やな……』と感じた物件は、たいていが事故物件なんです。

 でも事故物件って、入居者には告知義務があるけど、僕らみたいな業者にはないんですよ。だから、『実は事故物件やった』って後から分かるパターンも、ほんまに多いです」

 

 たとえ更地であっても、決して油断はできない。そう田宮さんは言葉を続ける。

 

「地鎮祭をしていない土地は、必ず“良くないこと”が起こります。実際、職人さんが勝手に物を持ち帰ったりすると、説明がつかない事故や、ありえないような怪我をしたり……。

 地鎮祭をやらずにえらい目に遭った話なんて、この業界ではあるあるです。土地を動かすときは、ちゃんと手順を踏まないと、霊や神様が怒ってしまうんでしょうね」

 

 

■建築業界に伝わる絶対的禁忌

 

土用の鰻

「土用のうなぎ」でイメージしがちだが、その背後に実は絶対的なタブーが。

(写真はイメージ)画像:shutterstock

 さらに建築業界では、「土を触ってはいけない日」が昔から決まっているそうだ。

 

「年に4回、立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間は土を動かしてはダメだと言われています。いわゆる土用の日です。僕も下積みの頃に、『この日は絶対に触ったらあかん』ときつく言われたので、今でも守っています」

 

土用の日に土いじりをしてはいけない。これは、陰陽五行思想にもとづくものだとされている。もともと土用の日は「土旺用事(どおうようじ)と呼ばれており、文字通り「土の気が旺(さかん)に用(はたら)く事(期間)」を意味していた。