
建築業界の職人たちが遭遇した奇妙な出来事は、決して気のせいではないのかもしれない――。ワケあり物件で感じる“言葉では説明できない違和感”。建築業界に伝わる“絶対に破ってはいけない禁忌”。京都で工務店を営む田宮翔太さん(仮名・50代)は、こうした不可解な現象の数々を目の当たりにしてきた。
実は田宮さんに「髪の毛の呪い」(前編参照)が振りかかった頃、彼の右腕である職人にも壮絶な出来事が起こっていたという。果たしてそれは偶然なのか、それとも“呪い”なのか。
■千年越しの悪縁で瀕死の事故⁉
「仕事中に屋根から落下し、生死の境をさまよった」と語るのは、田宮さんの幼馴染でもあり、右腕的存在でもある栗林良太さん(仮名・50代)だ。
栗林さんの落下事故は単なる仕事中のミスではなく、「前々前世からの因縁」が関係していたという。一体、どういうことなのか……
「私は当時結婚していて、奥さんと離婚係争中でした。なかなか決着がつかず、精神的に参っていたとき、友人から『有名な霊媒師が京都にいる。何か悪いモノが憑いていないか、視てもらったらどうか』と誘われました」
霊やスピリチュアルを信じていなかった栗林さんだったが、「気晴らしになるなら……」と、霊媒師の女性を訪ねたそうだ。
■「妻の生霊」との信じがたい因縁

栗林さんの首にまとわりついた「黒い影」の正体とは?(生成AI画像)
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「そしたら、『あなた生霊が憑いていますよ』って言われたんです。生霊の黒い影が、首の周りにまとわり憑いているって。しかも、その正体は当時の奥さんだと」
霊媒師が言うには、栗林さんと当時の妻は、「前々前世のギリシャ時代から戦っている」という。あまりに突飛な発言に目を丸くした栗林さん。「まさか(笑)」と笑う彼に向かって、霊媒師は真剣な表情で言葉を続けた。
「その方によると、『奥さんは前々前世からあなたを独り占めしようとしている。ただ、その時々であなたを助けてくれる女性がいたから、あなたは救われてきた。しかしどの時代でも、結局最後には奥さんに独り占めされて終わっている。そして今世で、その戦いに終止符を打つつもりだ』と……」
数百年、数千年もの間、栗林さんを独占しようと画策してきた妻の魂。その執念は凄まじく、彼の家族をも虐げてきたのだという。
「正直まったく信じられなかった。でも、妙に納得する部分もありました。私、昔からいろんな人に『なんか悪いモン憑いとるんちゃう?』って言われることが多かったんですよ。自分では自覚がなかったけど、人から見たら心配される要素があったのかもしれません」
■霊媒師もさじを投げるほどの…

「一応、お祓いでもしたほうがいいのか……」と思った栗林さん。しかし霊媒師は非情な宣告をした。
「これはお祓いでどうにかなるものではない、と。『奥さんの魂が諦めない限り、来世でも来々世でも続く』と言われてしまって。そんなバカなことがあるかと、呆れながら帰宅しました。でも……霊媒師のもとに行った数日後、事故に遭ったんです」
その日、栗林さんは田宮さんから、社屋の屋根の点検と修理を任せられた。3階建ての社屋を前にして、栗林さんは嫌な予感がしていたという。

事故当日は「ただただ嫌な予感がした」という栗林さん(写真はイメージ)
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「なぜだか、まったく気乗りしなくて……。虫の知らせってやつでしょうか。『絶対に屋根に上がりたくない』と、全身が拒否していたんです。しかも、空気がいつもと違ったんですよ。天気も良かったし、雲ひとつない晴天だったのに……。
ただ、あいにくその日は田宮も含めて職人全員が出払っていたから、私がやるしかない。覚悟して屋根に登って作業していたら……踵(かかと)からズルっと足を滑らせて、落ちてしまったんです」