■名作ドラマ『がんばれ!クムスン』では温かなおばあさん役

 続いて、過去の大ヒットドラマから、比較的最近のドラマまで、ユン・ヨジョンのエピソードと見どころをまとめて紹介しよう。

「古くからの韓流ファンが、ユン・ヨジョンといえば思い出すのが、2005年の大ヒットドラマ『がんばれ!クムスン』じゃないでしょうか。母に捨てられたヒロインを苦労して育て、常に温かく包み込む“おばあさん”役でしたが、視聴者はどれだけ泣かされたことか。ユン・ヨジョンは当時まだ57歳で、それまでの作品ではペ・ヨンジュン(48)主演の『愛の群像』をはじめ、母親役が多かった印象でした。なので、堂に入った“おばあさん”ぶりに驚いた記憶があります。

 韓国では、ドラマの主人公の母親役、祖母役を演じる名優を、“国民の母”“国民の祖母”というように称することがありますが、ユン・ヨジョンは常々『私は、“国民の母”とは言われたくない』と口にしています。あくまでも『女優だ』という姿勢なんですよね。それが今回のオスカー女優への布石にもなっているのではないでしょうか。

『がんばれ!クムスン』では、ヒロイン役のハン・ヘジン(39)に対して、スタッフが、新人という理由で撮影現場に一番で待機させていると聞いたユン・ヨジョンが、スタッフに『女優にとって30分がどれだけ重要かわかるか』と叱りつけたそうです。そのことを約10年後にバラエティーで明かし、それを聞いたハン・ヘジンがぼろぼろに泣いていました。そういうエピソードに欠かない女優だと思います」(同編集部・高橋尚子氏)