現場では俳優をどなりつけるような鬼監督のサンス(ソン・ソック)。無愛想で印象最悪なのだが、ぶっきらぼうにウンジョン(チョン・ヨビン)を気にかける。実は、児童福祉施設の「寄付天使」と呼ばれて子供たちの人気者だったり(子供に抱きつかれても無表情だけど)、ウンジョンの心の穴を感じて「抱きしめましょうか」と言いのけたり(これまた無表情だけど)、出てくるたびに「なにこの人、つかみどころがないけど、気になる〜!」と視聴者をあっという間にソン・ソックワールドに引き込んでしまうのだ。
『恋愛体質』でも、『私の解放日誌』同様、よれよれのTシャツ姿で、ワケありヒロインとアイスクリームを食べるというシーンが出てくる。あの強面でアイスクリームを食べる姿のギャップがいいのか、いずれにしても、「この人、ようわからんが、何かありそう」というキャラを演じさせたら、今、ソン・ソックの右に出るものなし!「危険な雰囲気」と「温かさ」の両面を感じさせる“ようわからん何か”が、彼独特の魅力になっている。
本作『恋愛体質』は、大ヒット映画『エクストリーム・ジョブ』や、ジュノ(2PM)&キム・ウビン&カン・ハヌルという今をときめく男優3人が主演した『二十歳』でメガホンを握った鬼才イ・ビョンホン監督が、初めてドラマの脚本&演出に挑んだ作品だ。
ユニークな演出に、名セリフのオンパレード。ソン・ソックだけでなく、登場するすべてのキャラクターが愛おしく思える傑作なので、ぜひチェックしていただきたい。