■是枝裕和監督、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、イ・ジウン(IU)、イ・ジュヨン会見インタビュー

パク・ギョンリム(以下、司会者):監督にまずお伺いしたいのですが、『ベイビー・ブローカー』は韓国の制作陣と韓国の俳優の方たちとの初の韓国映画演出作となりますが、どのようにして韓国映画を演出されることになったのか、そのはじまりについてお聞かせください。

是枝裕和監督:そうですね。ベ・ドゥナさんとは一度映画でご一緒していましたし、ソン・ガンホさんとカン・ドンウォンさんともいろんな映画祭でご挨拶させていただいて日本でも交流を続けていました。それで最初はいつか一緒に映画ができるといいですねと漠然とした言葉を交わしていただけだったんですが、2016年頃に神父の格好をしたソン・ガンホさんが、赤ん坊を抱き上げて、すごくいい人に見えるんだけど実は……そういうワンシーンが最初に思い浮かびまして、これだったら今自分の頭の中にいる韓国の役者さんたちと一緒に映画ができるのではないかと思いました。

司会者:そのワンシーンによって私たちが『ベイビー・ブローカー』に出会えることになったのですが、では『ベイビー・ブローカー』はどのような作品なのか少し紹介していただけますか?

是枝裕和監督:「赤ちゃんポスト」というのは実は日本にも存在していて、前々から関心を持っていたんですが、韓国にも同じようなものがあるということを聞きました。それでまず、そこに預けられた一人の赤ちゃんをめぐって、そこに善意と悪意が絡まりながら赤ん坊と一緒にいろんな思惑を持った人間たちが旅をしていく、そういう話にしてみたいと思いました。

司会者:ソン・ガンホさんは初めて作品に取り掛かった時いかかでしたか?それとこの作品に出演するという気持ちになった理由をお聞かせください。

ソン・ガンホ: 6、7年前くらいに釜山国際映画祭で初めてミーティングがあって、その時お話を聞きましたが、私はかなり以前から是枝裕和監督の作品の世界が好きだったし、ファンでもあり、尊敬する芸術家でもあるので、そのような提案自体がとても光栄でした。それに撮影に参加してみたら是枝監督が持っている冷静かつ冷徹な現実に対する直視のようなものが、むしろ温かさからはじまって、冷静な視線で私たちが今置かれている世の中を見つめさせるような映画の世界が展開していくということを感じました。その時から感動を受けたことを覚えています。それで、新しい挑戦でもあり、ときめいた撮影になりました。

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司会者:カン・ドンウォンさんは公開を目の前にした今のお気持ちは? イ・ジウンさん、イ・ジュヨンさんは出演依頼を受けていかがでしたか?

カン・ドンウォン:私も6、7年前くらいに東京で監督にはじめてお目にかかってお話ししたんですが、ずっとお話ししながら過程を見守ってきて、少しずつ予定が延長になりながら結局昨年撮影することになり、こうしてついに公開を目の前にしているので、とても感慨深いですね。

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イ・ジウン: 台本を全部読む前に、短編映画でご一緒したベ・ドゥナ先輩から「その役はよく合っていると思うよ」とおっしゃっていただいて、普段からとても好きな先輩の言葉で、より確信をもって台本を読むことができました。

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イ・ジュヨン: 劇中でサンヒョンとドンスとソヨン、それとへジンがお互いの心を理解しあいながら対話するシーンがあるんですが、そこで心に響くものがあったし、人物たちの感情をきちんと重ねていくシナリオだと思いました。幼い時から是枝監督の作品が好きだったんですが、韓国で演出される作品の世界に私が存在することができるだけでもとても光栄だし、とても楽しく撮影できました。

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*取材・文/本間裕美 ※記事本編は『韓国TVドラマガイド』101号(6月20日発売)にて掲載。

『ベイビー・ブローカー』6月 24日(金)TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

配給:ギャガ  ⓒ 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED