チ・チャンウクの眼差しの魅力、次回作では“生きる意味ゼロ”男に

 奥二重の大きな眼、すっと通った鼻筋のキリリと端正な顔立ち。上目遣いで投げかけてくる視線の危うげな色気。チ・チャンウクは、正真正銘の正統派美男俳優だ。『僕を溶かしてくれ』などで見せたクールなデキる男オーラをまとった姿はもちろん、『アンナラスマナラ−魔法の旋律−』で演じたミステリアスで非現実味さえ漂う魔術師の姿も、吸い込まれそうに美しい。

★『アンナラスマナラ−魔法の旋律−』STORY

 成績優秀だが、頼りない父のせいで借金を抱え、バイトをしながら幼い妹の面倒をみている高校生ユン・アイ(チェ・ソンウン)。貧しい暮らしに疲れ果て、夢をみることも忘れたアイは、ある日、廃れた遊園地にオウムと暮らす不思議な男リウル(チ・チャンウク)に出会う。「魔術師」だと名乗る彼をはじめは怪しむアイだが、窮地をリウルのマジックに救われ、心を開くように。
一方、検事の息子で学年1位の優等生ナ・イルドゥン(ファン・イニョプ)は、数学の成績で自分より優秀なアイを気にかけていた。アイとの距離を縮めたいイルドゥンは、彼女を追ううちリウルと出会うが……。本当の自分を見失ったまま大人になろうとしていたアイとイルドゥンにとって、リウルは危険な存在か? それとも?

 

 本作を長年温めてきたというキム・ソンユン監督は、チ・チャンウクのキャスティグについて、「チャンウクは、少年のようなルックスと、ミステリアスな雰囲気がある。彼はダークな雰囲気も出せるので、魔術師リウルというキャラクターに魅力的な“なにか”をもたらしてくれると思った」と語っている。

 劇中のリウルは、まさに「少年の無垢で自由な心を手放さなかった大人こども」。見事なマジックの腕前を披露する姿に、知らぬ間に幻想的な世界に惹き込まれる。その寂しげで儚げな眼差しが訴えるものがなにか、衝撃の結末も見逃せない。

 そして、キム監督の言葉で思い出されるのが、チャンウクの代表作の1つ『ヒーラー〜最高の恋人〜』の脚本家ソン・ジナの言葉だ。

「じつは、ジョンフ(ヒーラー)役は、これ!という俳優がなかなか見つからなかったんです。悩んでいたなか、ある映画の試写会で偶然チ・チャンウクさんにお会いしました。正直にいえば、それまではよく知らない俳優だったんです。でも、そのとき“あ、この感じだ!”と、ピンと来るものがありました。

 外見は美しいけれど、弱々しいわけではなく、聡明さと孤独感、そして純粋さのすべてを持っている妙な雰囲気がありました。家に帰ってから彼の出演作をすべて観てみたのですが、彼はただ悲しい演技をするのではなく、本当に悲しみに落ちることができる俳優でした。私は監督にすぐさま連絡をしました。“ジョンフを見つけた!”と」(『韓国TVドラマガイドvol.62』ソン・ジナ脚本家インタビューより/2015年12月19日発売)

『韓国TVドラマガイド』(62)表紙チ・チャンウク(2015年12月19日発売)