南北統一目前の朝鮮半島で、南北のならず者9人が現金4兆ウォン強奪を企てるドラマ『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』。かつてのJSA(板門店)を南北の一般人が往来するという設定が大変刺激的だ。平壌に住む若い女性(チョン・ジョンソ)が韓国にやってくるいきさつを説明する第1話の冒頭6分だけで語りたいことが山ほどある。

平壌市内の地下鉄「栄光」駅のホーム。外国人観光客は隣の「復興」駅から「栄光」駅まで1駅だけ乗車体験ができる。韓国に渡ったのち、“トーキョー”と呼ばれるようになる若き平壌女性(チョン・ジョンソ)もここを利用したはず

JSA(共同警備区域)からJEA(共同経済区域)へ

『ペーパー・ハウス・コリア』第1話の冒頭、南北間のJSA(共同警備区域)がJEA(共同経済区域)に変わり、韓国と北朝鮮の経済協力の実験場になったことを伝える場面がある。そこに映っていたスマホのチラシには「北韓住民 特別割引」と書かれていた。

 このドラマのように北から南へ多くの人が移動した場合、商品力では圧倒的に優位な韓国企業が新たな消費者である北朝鮮の人々を割引対象にすることはじゅうぶんに考えられる。北朝鮮の人口は約2000万人。南に来る余裕がある人(または南に来ないと生活が苦しい人)がそのうちの10%だとしても大きなマーケットには違いない。