毎年、年末になると、雑誌などで“今年のマイベスト〇作”を選んだりするのだが、サッと決められる年と、迷いに迷ってしまう年がある。今年は、そういう意味では後者だ。韓国ドラマがとにかく豊作だった。
配信サービスにより、日本で手軽に観られる韓国ドラマが年々増加していることも大きいが、『赤い袖先』『二十五、二十一』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『還魂』『シュルプ』など、2022年は広く評判を呼んだ作品が多い1年だった。
配信ドラマの隆盛は、映画監督や映画を主軸にする俳優のドラマへの流入も加速させた。『ナルコの神』、まだ配信途中だが『カジノ』などは、“韓国シネドラマ”(ネーミングつけるの下手過ぎですが……)とか、何かほかの呼び名が必要なのではと思うほど、これまでの韓国ドラマとは次元が異なり、1話ごとが1作の映画のようだった。
一方で、配信ドラマ以外の作品は、韓国で高評価でも日本でなかなか話題にならない傾向が強まっていて、そこはちょっと残念だなぁと。
ともあれ、今年は、個人的なベストドラマがあまりに多すぎた。仕方がないので、今年のお気に入り作品の中から各媒体に合ったドラマを選んで紹介、ということで対応したのだが……。ここでは、年末年始にほっこり楽しめそうな2022年の個人的ベストドラマを紹介したいと思う。
■笑ってキュンとくるラブコメディに癒されたいならこのドラマ!
●『ユミの細胞たち1』
コロナ禍の閉塞感のせいなのか、昨年あたりから、笑ってキュンとくるラブコメディに救いを感じるようになっている。今年は何といっても『ユミの細胞たち』に癒しとときめきと感動をもらった。シーズン1とシーズン2があるが、個人的にはシーズン1にハマりにハマった。
『ユミの細胞たち』は、かわいいテイストに見えて、実は斬新な一作。ヒロインと主人公の恋する気持ちを3Dアニメの細胞たちで表していくのだ。この細胞たちによって、視聴者は2人の想いが痛いほどわかってしまうので、観れば観るほどたまらない気持ちにさせられる。シンプルファッションのキム・ゴウンと長髪のアン・ボヒョンの相性もとてもよく、最後のシーンまで完璧だ。
細胞は、「愛細胞」「理性細胞」「感性細胞」「下心細胞」(!)などといろいろ登場するのだが、細胞たちがユミのために一生懸命になるのも感動的。「こんなにもたくさんの感情をもっていて、それが複雑に組み合わさって生きているなんて、人間ってすごい!」と、何だか感激してしまった。
●『社内お見合い』
一方、すっきり幸せな気分になれたのは、『社内お見合い』だ。シットコムに携わってきた監督や脚本家の作品だけに、シリアスになりそうなところにサッと笑いを入れてくるうまさがさすが。あのアン・ヒョソプ演じるカッコいい財閥御曹司に“始祖鳥”というあだ名をつけるとは、何と素晴らしきセンス! 財閥が登場するドラマなのに、こんな人間関係があったらいいなぁとほのぼのさせられたりもする。
随所に“韓ドラあるある”も詰め込まれていて、ファンをニヤリとさせるが、メインの女性2人ともさばさばしたキャラだとか、財閥御曹司だけど実は掃除好きだとか、脇役が多かった男性秘書がメインキャラだとか、これまでのラブコメ設定とは少し違うポイントをプラスしているのもおもしろいなぁ、センスいいなぁと思ってしまった。