■ヒューマンドラマの名手ノ・ヒギョン脚本『私たちのブルース

●『私たちのブルース』

 最後の1作は、上記2作とは毛色が違うのだが、済州島を舞台にしたオムニバスドラマ『私たちのブルース』を挙げたい。

 本作の脚本家は、私も大好きなヒューマンドラマの名手ノ・ヒギョン。ドキュメンタリー番組『韓国ドラマ 世界的ヒットの秘密 〜密着 企画制作の現場〜』(NHK)で、今回のドラマは「“親戚文化”“照らされることのない人の人生”を描きたいと思った」と語っていたのが印象的だった。

 1~3話ごと主人公を変えながら物語が紡がれていくが、思わずふき出したり、ハラハラしたり、ほろりとしたりしながら、それぞれの人生を垣間見せてもらったような気分になった。わかりづらい感覚かもしれないが、済州島を旅している気分にもさせられた。ちょっとした日常が特別に見える感覚が、旅先で人々の生活風景を眺めるときの感覚と似ていたのだ。

 冴えないおじさん役で魅力を放ったイ・ビョンホンなど、普段は1人で主役を張るような俳優たちがイキイキと役を演じているのも本作の魅力だが、障害をもった女性2人を俳優として登場させたことも目を引いた。この物語は、現実とつながっているのだと感じさせられた。まさにタイトルの“ブルース”という言葉がしっくりくるドラマだと思う。

『私たちのブルース』画像出典:tvN