正直なところ、甘い童顔のチャン・グンソクが、刑事、しかもチーム長役とはどうだろうか?と観る前は想像がつかずにいたが、これが実にいい。

 喜怒哀楽を最低限に抑え、表情を大きく変えることはない。何かを察したときのみ眼光に鋭さが浮かぶ。その感情の動きが静かに伝わるとともに、真相に近づいていく緊張感たるや。抑揚のきいた低音ボイスはロマンス作品では甘く心をくすぐるが、本作では複雑な事件の真相を捜査していくなかで説得力を持たせる武器となっている。

 これまではクールでありながら“軽快さ”を醸すキャラクターが十八番のグンソクだったが、本作はその軽やかさを一切封印。そのためか知的な重みが全身をまとい、物語全体の世界観を作り出している点も注目だ。

 2話では、ドハンの疑いが詐欺被害者団体に向けられ、『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』のモスクワもといイ・ウォンジョンら芸達者たちとのやり取りも繰り広げられていく。のちにドハンと手を組むことになる女性記者チョン・ナヨン(イ・エリヤ)の動きも怪しく、彼らとどのような化学反応を見せていくのか、役者チャン・グンソクの新境地が期待される。

 脚本は、『ミストレス~愛に惑う女たち~』のキム・ジヌク、演出は『ボイス〜112の奇跡』や『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』など傑作サスペンスを多く生み出してきた名手キム・ホンソンと、スタッフも最強の布陣で、骨組みもしっかりした作品になりそうだ。

 本作は、1月27日より毎週2話、全6話からなるパート1を先に配信中で、2023年上半期にパート2(全6話)が公開される予定だ。日本での公開を切望する。

『ミッキ』1話予告 動画出典: Coupang Play公式YouTubeチャンネル(youtube.com/@CoupangPlay)より