■映画『デシベル』で担った主人公カン・ドヨンとの親和性

 音に反応する騒音反応型爆弾テロ犯と、元海軍副長カン・ドヨンとの鬼気迫る攻防を描いた『デシベル』のファン・イノ監督は、キム・レウォンを「もちろん見た目もイケメンだが、憂いのある目をもち、痛みを感じているようなオーラがある」と評価する。

 だからこそ、英雄とうたわれているが、内面には痛みや苦しみを抱え、傷ついた同僚を思いやるリーダシップと深みのあるドヨン役に彼を選んだ。

 そのキャスティングは大成功。キム・レウォンは、劇中はもちろん撮影中もリーダーシップを発揮してキャストをまとめる一方で、バランスを重視し、一歩引く演技も心がけたそう。また、セリフも台本通りになぞるのではなく、最初から最後まで自ら設計して役を作り上げている。

 本作でのキム・レウォンは、とにかく走る!(この走る姿が昔からものすごくかっこいい!)海軍の白い制服姿で走り、プールに飛び込み、人々を救おうと奔走する。悩めるヒーローは、テロリストとも正面からぶつかっていくのである。

 ほぼノースタントで挑んだアクションの数々、緊迫したシーンの姿はもちろんだが、海軍時代の過去パートもふくめ、さまざまな表情に注目してほしい。相対する者の悲しみが胸に迫ってくるはずだ。

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