ムービング』のチョ・インソン、『九尾狐伝』のイ・ドンウク、『バレリーナ』『ペーパー・ハウス・コリア:統一通過を奪え』のキム・ジフン、映画界で活躍するカン・ドンウォンと、いま1981年生まれの韓国俳優の活躍が著しい。

 イ・ジョンソク演じる天才爆弾犯と対決する元海軍副長に扮した映画『デシベル』や、ディズニープラス スターで独占配信中の『ファースト・レスポンダーズ 緊急出動チーム』のキム・レウォンも、そのひとりだ。

■誰もが魅了される、キム・レウォンの強く余韻を残す演技

 キム・レウォンは1981年3月19日生まれ。若い頃は有力校からスカウトされるほどバスケットボールに打ち込んでいたが、ケガで断念。その後、学生服のCFに出たことをきっかけに、オーディションを経て、1997年にドラマデビュー。イ・ドンウクやハ・ジウォンらと出演した『学校2』(1999年)、青龍映画祭新人賞の最年少受賞者(当時)となった『プライベートレッスン 青い体験』(2000年)などで注目を集める青春スターとなる。

 日本の韓国ドラマファンにも知られる存在となったのは、韓国で同棲ブームを巻き起こしたラブコメディ『屋根部屋のネコ』(2003年)や、映画『マイ・リトル・ブライド』(2004年)だろう。軟派でいい加減、勝手気ままなダメ男のくせに、なぜか許せてしまう。愛嬌の数々を愛さずにはいられないのだ。

 一方で、男も惚れるタフガイとしても人気を博したキム・レウォン。代表作のひとつ、出所した元ヤクザと彼を家族として受け入れた母娘との交流を描く『ひまわり』(2006年)を何度も観たと語ったイ・ドヒョンナ・イヌ、さらにはキム・ヨングァンなど、多くの俳優がロールモデルにあげている。

 役柄と完全に同化して放たれる爆発的エナジー、繊細な感情表現、圧倒的なカリスマ性とセクシーさ、強い印象と深い余韻を残す演技、そんなところが憧れの対象になってきたようだ。

 サウンドパニック映画『デシベル』で共演したイ・ジョンソクもまた、「僕の世代の俳優で、キム・レウォンの演技を参考にしなかった俳優はいないだろう。とても尊敬していた」と語っている。

『デシベル』(C) 2022 BY4M STUDIO,  EASTDREAM SYNOPEX CO., LTD, MINDMARK Inc. ALL RIGHTS