――水深6メートルの巨大な水槽のセットで撮影されたそうですね。
「俳優とスタッフは、水中シーンのためにとても苦労したと思います。幸い、俳優たちの息が本当によく合っていて、素晴らしいチームワークだったんです。水中に入る俳優やスタッフのために、撮影がない俳優たちも水槽のセットのまわりを取り囲み、まるで試合をしている選手の応援団のように、拍手や声援を送っていました。その応援の力でスムーズに撮影を終えることができたと思います」
――監督はもともとキム・ヘスさんとヨム・ジョンアさんのファンだったそうですが、実際に2人と仕事をしてみて、意外だった面、新たに知った魅力は?
「一番意外だったのはヨム・ジョンアさん。都会的でクールな美女というイメージがありましたが、実際はとてもユニークでボーイッシュな方でした。人との親和性に優れていて、リーダーシップも素晴らしかったですし、彼女のキャラクターのギャップに驚きました。
キム・ヘスさんは、長い間スターとして過ごしてきた俳優さんですが、それにもかかわらず、この映画に出演すると決めた瞬間からはまるで助監督のような働きぶりでした(笑)。
70年代当時のファッションやヘアスタイルに関する写真やドキュメンタリーなどを見つけると、夜中の1時2時でも私のところに送ってくるんです。彼女は誠実な俳優だということは以前から知ってはいましたが、これほどまでとは思いませんでした」(後編に続く)
●リュ・スンワン監督プロフィール
1973年生まれ。2000年、『ダイ・バッド~死ぬかもしくは悪(ワル)になるか~』で長編映画デビュー。『ベテラン』は韓国で観客動員数1000万人を突破。そのほか、代表作に『生き残るための3つの取引』『ベルリンファイル』『モガディシュ 脱出までの14日間』など。
●作品あらすじ
1970年代半ば、韓国の漁村クンチョンでは、化学工場による海洋汚染が広がり、地元の海女たちが失業の危機に瀕していた。海女のリーダーのジンスク(ヨム・ジョンア)は、仲間の生活のために海底から密輸品を引き揚げる仕事を受けるが、ある日、税関の摘発に遭い、刑務所送りに。1人逃げ延びたチュンジャ(キム・ヘス)は、2年後、密輸王クォン(チョ・インソン)とともに儲け話をもってクンチョンに戻ってくるが……。
●公開情報
『密輸 1970』新宿ピカデリーほか全国公開中
[2023年/韓国/129分]監督・脚本:リュ・スンワン『モガディシュ 脱出までの14日間』『ベテラン』 脚本:キム・ジョンヨン、チェ・チャウォン
出演:キム・ヘス『国家が破産する日』『シュルプ』、ヨム・ジョンア『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』、チョ・インソン『モガディシュ 脱出までの14日間』『ムービング』、パク・ジョンミン 『地獄が呼んでいる』、キム・ジョンス『工作 黒金星と呼ばれた男』、コ・ミンシ『五月の青春』『Sweet Homeー俺と世界の絶望―』
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス 提供:KADOKAWA Kプラス、MOVIEWALKER PRESS KOREA
公式サイト:mitsuyu1970.jp
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