契約結婚3年目の仮面夫婦にかかってきた脅迫電話。その目的は――。

賢い医師生活』のユ・ヨンソクが敏腕大統領報道官を、その妻で手話通訳士を『ザ・ファビュラス』などのチェ・スビンが演じ、脅迫電話に端を発した夫婦のスリリングな攻防を描く『その電話が鳴るとき』。

 Netflixのグローバル部門(英語以外のTV番組)で週間ランキング2位にまで浮上するほど、世界で注目を集めている。 

 本作の最大の面白さは、得体の知れない者との戦いを描くスリラーと、素直になれない夫婦のこじらせロマンスの両方を同時に味わえることだろう。あらためて、見どころを紹介したい。(以下、一部ネタバレを含みます)

■妻が何者かに襲われたと知った夫の怒り!妻にだけ注ぐ眼差しにくぎ付け!ユ・ヨンソクが魅せるこじらせ純愛男沼!

●『その電話が鳴るとき』ストーリー

 代々政治家を輩出してきた一族の出のペク・サオン。自身はニュースキャスター出身の大統領報道官として、常に政府の顔として活躍している。

 ある日、海外で発生した邦人誘拐事件の対応に追われていたサオンのもとに、海外の番号から着信が。不審に思って電話を取ると、「お前の妻を殺そうとしてるところだ」と脅される。妻ヒジュの存在は世に知られていないはず!と、にわかに信じられず、強い態度で電話を切ってしまうサオン。

 その後、急いで帰宅したサオンは、家にヒジュがいる姿を見て、やはり偽電話だったと安堵するが……。

 ところが、拉致は本当だった。テレビ局で報道番組の手話通訳の仕事を終え、帰宅中のヒジュの車に突然異変が! 車載システムをハッキングされたのだ。さらに、何者かが車に乗り込んできてナイフで脅される恐怖を味わうヒジュ。そのとき、スピーカーごしに聞こえた「(妻が)死体になったら連絡してこい」というサオンの冷たい言葉に絶望したヒジュは……。

 翌日、在韓英国大使主宰のパーティーに出席するサオンとヒジュ。やがて、サオンのもとに再び脅迫電話がかかってくる。ヒジュが本来の妻の身代わりだという、身内しか知らない秘密をしゃべりだす犯人に動揺するサオン。

 その頃、トイレのなかでは、犯人が使っていた特殊な携帯電話をもつヒジュの姿が。なんと、脅迫電話をかけていたのは、ヒジュ自身だったのだ!

●見どころ

★ユ・ヨンソクのこじれた純愛夫ぶり!

 圧倒的な魅力を放っているのは、ユ・ヨンソクが演じる大統領報道官ペク・サオンの、恋愛不器用っぷりだろう。普段は完璧な仕事人間、冷徹にも見える彼だが、実はものすごく情熱的な人物なのだ。

 国の一大事でもことを荒立てることなく、極めて冷静にそして迅速に対応する姿はかっこよくスマート。国民から絶大な人気を誇るのも納得できる。一方で、妻ヒジュには、ことあるごとに自分たちの結婚が「契約」だと繰り返しては、突き放す。一体、なぜいつも怒っているのか、と思わせるほどに。

 だが、視聴者はすぐに気づくはずだ。彼がどれだけ彼女を大切にしているかということを。

 電話ごしに脅迫犯「406」と向き合うときのサオンからは、丁寧な口調でありながら、怒りの炎がメラメラ見えてくる。明らかに動揺して口調が少しだけへりくだる、心配のあまりに悪態をつく、その一瞬一瞬の感情の揺れを、ユ・ヨンソクがじつに繊細に演じており、やがてその一挙手一投足から目が離せなくなる。

 眉間のしわも、釣り上がった眉毛も、不器用に愛をぶつける姿だと気づくいたときには沼落ち必至だ。

★脅迫犯は妻自身? 対話のない夫婦が“脅迫電話”で本音を語る!?

 サオンにかかってくる「406」からの電話。ボイスチェンジャー機能のついたその電話は10分間だけなら、発信元が追えない仕組みになっている。妻の正体を知っていると、サオンを脅す「406」の正体とは。

 サオンを動揺させようと、自身のセクシーな写真を撮って送るヒジュの姿にはおどろかされたが、脅迫犯(ヒジュ)に対し、ときには支配するように通話をコントロールするサオンの交渉術も相当なもの。目の前で話し合うような映像演出もあいまって、ヒリヒリするやりとりがくせになる。

 ヒジュへの想いが溢れ出るサオンの言葉の数々、脅迫のはずが、感情を爆発させて寂しさを口にするヒジュにヤキモキすること間違いなし。互いの本音に気付いたのちの夫婦に期待が高まる。

★脅迫犯の真の目的は!?

 もちろん気になるのは、本当の脅迫犯の目的だ。次期大統領候補といわれるサオンの父を含めた、ペク家を狙ったことなのか、それともサオンだけに向けたことなのか。なぜ、ヒジュをターゲットにしたのか。ヒジュは犯人に利用され続けるのか、今後の展開が気になる。