■熱気に包まれていた『四月の雪』ロケ地と、再評価されているその作品性
映画『四月の雪』が公開されたのは、今から20年前の2005年。主役は、当時『冬のソナタ』で社会現象になるほどの人気を誇っていたペ・ヨンジュンと、俳優歴5年目のソン・イェジン。
映画のロケ地は、韓国江原道(現・江原特別自治道)の三陟市。ソウルから190キロ離れているにもかかわらず、当時の三陟は、日本人のヨン様ファンであふれかえっていた。
私も取材のために三陟を何度も訪れたが、ヨン様が宿泊していたホテルや、映画のロケ地になったカフェ、食堂がファンで埋め尽くされているのをよく目撃した。小さな町は日本人だらけ。異様ともいえる光景だったが、カフェのマスターや食堂を切り盛りする店主は、ヨン様ファンや取材にかけつけた記者をあたたかく迎え入れてくれたことを覚えている。


そんなヨン様ブーム真っ只中に公開された『四月の雪』は日本で大成功を収めたが、韓国では観客数が伸びず、当時、失敗作との烙印が押された。しかし近年、OTTで『四月の雪』を観た視聴者から「セリフは少ないが、一言ひとことに重みがある」、「以前観覧した時は理解できなかったが、改めて観たらとてもいい映画だった」などの声が上がっている。
また、昨年、全州国際映画祭で上映されると、MZ世代に好評を博すなど、公開から20年たった今、再評価されている。
そんな『四月の雪』の脚本家が送る映画『言えない秘密』は、偶然にも「20年」という時間がストーリーの重要なキーワードになっている。『言えない秘密』は今年、日本でも公開される予定だ。