数年前にはギャップ投資によって発生した「ヴィラ王事件」が毎日のように報道された。ギャップ投資とは、住宅価格とチョンセ保証金をほぼ同額にすることで、自己資金をほとんど投じずに物件を手に入れること。
「ヴィラ王」と呼ばれた家主は、こうした手法で1100戸以上ものヴィラを買い漁り、チョンセ物件として大勢に貸し出していたが、突然死亡。多くの賃借人は保証金が返金されず、住んでいた家も競売にかけられる事態に。
被害者の多くが20〜30代、建築主や不動産仲介業者なども絡んだ組織的犯行だったこの事件は、ドラマ『プレーヤー2〜彼らの戦争〜』の中でも描かれている。
かつて、不動産仲介業者を通じて契約すれば安心という時代があった。ところが今は、業者を介し、さらには家主の身元確認や抵当権の確認などを徹底したにもかかわらず、詐欺に遭うケースがほとんどだという。先述したように、不動産仲介業者が詐欺をはたらくケースもあるというから、一体どうしたら……。
チョンセ詐欺が横行していることから、チョンセ契約数は今年に入って過去最低を記録した。とはいえ、チョンセを求める賃借人が一定数いるのも事実だ。チョンセ詐欺を防ぐため、政府は法の整備をすすめているほか、企業はAIによる異常契約探知や、ブロックチェーンを使った文書偽造対策などを開発している。
こうした策が一手となり、チョンセ詐欺がドラマの中だけの話になる日は、いつかやって来るのだろうか。