2人の王の妃となり長年権力を維持したとされる、高句麗時代の王妃をモデルに、王の死を発端とする緊迫の24時間を描くサスペンスアクション時代劇『于氏王后(うしおうこう)』。

 『ペーパー・ハウス・コリア:統一通過を奪え』のチョン・ジョンソが、最愛の夫の死にもひるまず、己の道を貫く誇り高いヒロインを、戦にめっぽう強い高句麗第9代王・故国川〈コグクチョン〉王をチ・チャンウクがカリスマたっぷりに演じた話題作だ。

■『于氏王后』見どころは?「24時間以内に亡き王の弟と婚姻せよ!」生き残りをかけた王妃と、玉座を狙う者たちとの命がけの攻防

●『于氏王后(うしおうこう)』あらすじ

 西暦179年12月。先王の次男コ・ナンム(チ・チャンウク)が即位する。その後、コ・ナンムは父王の悲願でもある漢(かん)に奪われた領土奪還のため、隣国や反乱勢力と激戦を繰り返し、国政は王妃ウ・ヒ(チョン・ジョンソ)と国相(宰相)のウル・パソ(キム・ムヨル)に任されていた。そんな中、戦に勝利して凱旋したナンムが不審な死を遂げる。戦で負った傷のせいなのか、それとも……。密かに対策を協議するウ・ヒらだが、世継ぎもいない王妃の廃位は免れず、権力奪取をもくろむ他の部族により一族もろとも粛清されることは明らかだった。

 生き残るには、王の死が公になる翌日の諸加〈チェガ〉会議より前に、彼の弟との婚姻、“娶嫂婚〈チィスホン〉”を行うしか道がないと悟ったウ・ヒは内密に宮廷を脱出。亡き王に忠誠を誓う王直属の親衛部隊・王幢(ワンダン)の隊長ムゴル(パク・ジファン)、実の姉で侍女長ウ・スン(チョン・ユミ)らを従え、第3王子コ・バルギ(イ・スヒョク)の元に向かうのだった。

 一方、城に残ったウル・パソのもとに王の死因が毒殺との報告が入る。誰が王を殺したのか、宮廷内の裏切り者は誰なのか。慎重な調査が進むなか、王位を狙う兄弟王子たちと、権力を手に入れようとする5つの部族は、宮廷を抜け出た王妃を引きずり下ろすため、それぞれが追撃を始めるーー。

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●『于氏王后(うしおうこう)』みどころ

 有力部族が覇権を争い、虎視淡々と次の玉座を狙っている高句麗を舞台に、政敵から自分や一族を守るため、そして亡き夫の遺志を引き継ぐために立ち上がる王妃ウ・ヒの戦いを描く物語。近年の時代劇に多く見られる、タフな女性主人公の活躍を、ダークで刺激的なサスペンス劇に仕立てている。

 チョン・ジョンソが、幼いころから剣術に弓、兵法までに長ける、聡明な王妃役で時代劇デビュー。女人だからという理由で、一族の駒として生きてきたウ・ヒが、その常識に抗い、その才をいかんなく発揮し戦う姿がかっこいい。味方は誰か、その選択は正解か、まったく五里霧中のなか、王妃として揺るぎない強さを見せつけるウ・ヒ、“人狩り”と称して彼女らをつけ狙う荒っぽい敵部族の首長すらも圧倒する姿は圧巻だ。

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 そんな彼女を突き動かす国王コ・ナンムを演じるのは、チ・チャンウク。戦場では鬼神のごとく荒々しい王の凄み、愛する人に向けるまっすぐな眼差しなど、様々な表情で魅せる。

 政敵であれば兄弟でも容赦なく斬り捨てる武闘派ぶりや、帰還後の王妃への冷徹な態度には驚かされるが、そのダークなイメージを一蹴するのが、過去のエピソード。どれだけ幼いころからがウ・ヒに惚れ込んでいたのか、誰よりも彼女を信じ、愛おしむ姿にニヤり。そして、未来を予見していたように、周到に備えるコ・ナンムの才覚と愛情深さにハッとなることしばしばだ。