Netflix配信人気作『サラ・キムという女』の主人公、正体不明のサラ・キム(シン・ヘソン)と、彼女の素性を暴こうとしている刑事パク・ムギョン(イ・ジュニョク)。2人の息詰まる攻防が繰り広げられていき、取調室での尋問シーンは恐ろしいほどの緊迫感に包まれていた。その中で回想シーンを通して、様々な「虚飾」が明かされていく。(以下、一部ネタバレを含みます)

■Netflix『サラ・キムという女』で繰り返し描かれる「本物と偽物を見分けるのが、いかに難しいか」ということ

『サラ・キムという女』は、序盤から人間の欲望を刺激する場面が連続する。高級ブランドの超高額なバッグや、セレブたちが集まる豪華なパーティー。そして、華麗な内装に彩られたショップなどが次々と登場する。

 なぜ、あれほどまでに画面がキラキラと映るのだろうか。すべてが虚飾の世界だとすれば、華やかなのは人間の欲望を極限まで吸い取っているからかもしれない。

 サラ・キムという女性自体が、実体のない虚飾まみれの存在であった。彼女はありもしない高級ブランドを作り上げ、偽物で実体を装っていた。それをいかにも高級に見せるテクニックは尋常ではない。地下工場の劣悪な環境で作られた模倣品のバッグも、高級デパートのしかるべき場所に飾られると、まるで女王のような輝きを放つ。

 しかし、本物と偽物を見分けることは専門家でも難しい。それほど偽物が巧妙に作られているのだ。

 そこに目をつけたサラ・キム。虚飾をプロデュースするテクニックが天才的であった。そして、その手法は彼女自身にも通用した。もともと高級ブランドの店員であった彼女は、盗難事件の弁償額をまかなうために高額バッグの転売に活路を見出す。その過程で、自分自身を偽るワザを身につけていったのだ。

 肩書きと見栄えだけで、人間はいかようにも自分をセレブに見せることができる。バッグの世界で偽物が幅をきかせるように、人間の世界でも偽者が本人に成り代わっていけるのだ。

 それは、アイロニーなのか。人間の価値観ほど、あやふやなものはない。つまり、いつしか虚飾が本物となり、超高額な品物に生まれ変わっていく。そういう危うさを、サラ・キムはドラマの中で具体的に体現していた。

Netflix『サラ・キムという女』独占配信中
Netflix『サラ・キムという女』独占配信中