「灯台下暗し」ということわざもあるが、自分にとって普通なものが他人にとって珍しいものだった、ということはよくあること。

 日本では古来から「かちかち山」「分福茶釜」などの物語に登場する動物「タヌキ」。元々、極東アジア地域のみに生息する、世界的に見れば珍しい動物なのだ。

1928年に毛皮を目的に旧ソビエト連邦に移入されて野生化し、現在はヨーロッパにも分布しているが、アナグマやアライグマと混同されることも多いという。

 タヌキはイヌ科の動物で、胴長短足の体形など、原始的なイヌ科動物の特徴が見られる。

 生息する地域によって形態的違いが見られ、6亜種に分類される。日本に生息する2亜種「ホンドタヌキ」「エゾタヌキ」は大陸産とは違う独立種とする説もある。

 ホンドタヌキの生息地域は、本州、四国、九州。湿地、森林など多様な環境で生息し、都市部にも数多くの個体が生息している。

 タヌキは群れを作るが、単位はオスとメスによる子育て家庭。雑食性で農作物、生ゴミ、木の実から水生昆虫、魚介類、ネズミ、ヘビ、ミミズなど何でも食べる。

 冬眠の習性はないが、秋になると脂肪を蓄え、寒冷地では冬季に穴ごもりをする。冬毛は長く、ずんぐりむっくりのイメージがあるが、夏毛のタヌキはスリムで、イヌと間違えられることもある。