■「タヌキ寝入り」の語源はその習性にアリ?

 タヌキの大きな特徴として知られるのは、擬死。外的に襲われると死んだふりをすることから、「狸寝入り」という言葉が生まれた。子供のタヌキは車のヘッドライトに立ちすくんでしまう習性があるため、交通事故に会う件数が非常に多い。

 日本において、タヌキは鳥獣保護管理法で管理されているため、野生の成獣を飼育することはできないが、捕獲、保護した場合には一時的に飼育することが可能。日本の動物園では約40ヶ所で飼育されている。

 タヌキが生息していない国や地域では珍しがられ、2010年に日本からシンガポール動物園へホンドタヌキのつがいが贈られた際、「パンダ並みの珍獣」と扱われ、歓迎式典が開催された。日本の動物園がタヌキと国外の希少動物を交換することもあるという。

 古くは奈良時代にまとめられた『日本書紀』にも「人に化けて歌をうたう」などと記述があり、キツネと同様に人間を化かしたり、人に憑いたり、不思議な行動を起こす動物として語り継がれている。それだけ日本人にとっては身近な生き物だったということの証拠だろう。