WORLD WIDE GANG REPORT

VOL.2 ボーン・トゥ・キル

■映画にもなった「ベトナム難民からギャングに転身」の典型的パターン

 監督、プロデューサー、主演をクリント・イーストウッドが務め、日本では2009年に公開された映画『グラン・トリノ』では、ギャングにそそのかされたモン族の少年との交流が描かれた。

 モン族は中国の雲貴高原、ベトナム、ラオス、タイの山岳地帯にすむ民族集団で、ベトナム戦争でフランスとアメリカに協力したため、アメリカがベトナム戦争に敗れると行き場を失って世界各地に移住。在米モン族は約30万人とされる。

 このように、ベトナム戦争が原因でアメリカに移住した難民がギャング化した集団が全米各地に存在するが、その中でも最も有名なのが、ニューヨークのチャイナタウンででベトナム移民によって結成された「Born to kill」(BTK)だ。

 ベトナム戦争中に米国のヘリコプターと兵士がヘルメットに付けていたスローガンから引用されたアイロニックな名前を持つこのストリートギャングの結成は、1988年。当初は縄張りにしていたカナルストリートから引用し、「Canal Boys」と名乗っていた。