■記録的な干ばつで古代のミステリーが続々浮上!

 ここ数年、世界的に大規模な干ばつが起こっている。2022年は欧州の約6割の地域で干ばつの危険にさらされ、過去500年で最悪の状況となっており、農業、水力発電などへの影響は避けられない事態だ。

 米テキサス州のダイナソーバレー州立公園では、干ばつで干上がった川底から、約1億3000年前の恐竜の足跡が多数発見された。

 米ネバダ州のミード湖ではボートハウス、ヨット、モーターボートに加え、4体の遺体が見つかった。

 中国では内陸部の重慶を流れる長江の水位が3メートルほど下がり、約600年前に作られたとみられる仏像が3体出現。江西省にある中国最大の淡水湖「鄱陽湖」が干上がり、面積が3割ほどに。神奈川県と同程度の湖が消えてしまった。

 イラクでは最古の文明、メソポタミア文明を育んだチグリス川が干上がり、約3400年前の都市が出現した。

■7000年前の謎の巨石遺構が出現!

 こうした世界中で起こっている干ばつによるミステリーの発覚の中でも、本サイトが注目したいのが、スペインのバルデカニャス貯水池から出現した“スペイン版ストーンヘンジ”だ。

 これはグアダルペラル・ドルメン(Dolmen de Guadalperal)という巨石群で、使われている岩石は放射性炭素年代測定によって紀元前5000年、つまり約7000年前のものということが判明。高さ約1.82メートル以上の150個の巨石が楕円形に並んでいる。

 7000年前といえば、世界的には新石器時代、日本でいえば縄文時代が始まった頃だ。古代の人々はなんのためにここに巨石を運び、並べたのだろうか……?

 この謎の巨石群、誰が何のために築いたのかはいまだにミステリーのまま。そもそも、世界文化遺産に登録されているイギリスの“本家”ストーンヘンジよりも約2000年古く、エジプトの三大ピラミッドどころか最古と言われるジュセル王のピラミッド(紀元前2600年頃)よりも遥かに古い。

■謎の巨石遺跡を築いたのはアトランティス文明の末裔?

 唯一近い時期に建造されたとされるのが、やはり世界遺産となっている、マルタ島の巨石神殿群(紀元前4500年以降)だが、こちらも超古代文明の遺産ともされる謎の多い遺跡だ。その超古代文明といえば、哲学者プラトンが書き残したアトランティス文明が繫栄した場所は、ジブラルタル海峡の先にある大西洋の海上。 

 つまり、このグアダルペラル・ドルメンの目と鼻の先に、大西洋から地中海にかけて覇を唱えた、超古代文明・アトランティスが存在していたといことになる。となれば、この謎の巨石遺跡を築いたのも、アトランティス文明あるいはその末裔と想像したくなるところ。

 ただ、アカデミズムの世界では、先に挙げたマルタ島の巨石神殿や本家ストーン・ヘンジ、そしてこのグアダルペラル・ドルメンなど、ヨーロッパ中の巨石文明を築いたのは、現在のジョージアを源とした農耕民「ハプログループGa」とされている。

 とはいえ、これだけ大規模かつ天文学的知識を必要とする巨石文明を、農耕を始めたばかりの新石器時代の人類に発展させることが可能だったのか、疑問の残るところだ。

■独裁者フランコによって沈められた巨石文明の痕跡

 首都マドリードから南西に約200キロメートル、1926年にドイツの考古学者ヒューゴ・オーバーマイヤーによって発見されたこの謎の巨石文明の痕跡。1936年から1975年までスペインで独裁政権を敷いたフランシスコ・フランコにより、1963年に貯水池が建設され、グアダルペラル・ドルメンはまるごと水の底に沈んでいた。

 2019年にやはり干ばつで50年ぶりに浮上したものの、詳しい調査が行われることはないまま再び水の底へ。スペイン文化協会の会長を務める人物は、今回こそ再びここが水中に沈んでしまう前に、巨石を移動させようと働きかけているという。

 先史文明、あるいは超古代文明アトランティスの謎を解くカギを握るかもしれない、この巨石遺跡のさらなる調査が進むことを期待してやまないところだ。そして、依然として気候変動による影響は深刻だが、これからも知られざる遺跡が発見されるかもしれない。