■新型コロナウィルスによるリスクとも関係している旧人類遺伝子
また、ペーポ博士の研究チームは2020年にも研究成果を発表しており、そこにはネアンデルタール人から現代人に受け継がれているDNAセグメント(ヒトゲノムのおよそ0.002パーセントほど)が、新型コロナウィルスの重症化や入院と深く関係していると記されています。
現代人のゲノムには、およそ1~4パーセントの割合で、こうした絶滅した旧人類から受け継がれているようで、新型コロナに限らずさまざまな疾患と関連付けられていたり、場合によっては生殖能力の低下に繋がるなど人類にとって有害といえるリスクを孕んでおり、日本人に多いという花粉症の原因にもネアンデルタール人のDNAが関係しているという話もあるようです。
ただし、有益となる要素も見つかっているので過度には心配しないでください。ネアンデルタール人由来の別のDNAには、新型コロナの重症化を22パーセント抑えていることもペーポ博士の研究チームが2021年に報告しています。
■現生人類はなぜ誕生したのか? その大いなる謎
アメリカを含む諸外国では、UFO(未確認飛行物体)や宇宙人が遙かな大昔に地球に飛来し、人間を創造したり、ピラミッドやストーンヘンジなど大規模な遺跡を造ったと信じる人が数多くいます。そんな彼らが唱えているのが、アゼルバイジャン生まれのゼカリア・シッチンやスイスのエーリッヒ・フォン・デニケンらの著作物を通じて知られるようになった『古代宇宙飛行士説』です。
地球人が生まれた経緯についても宇宙人が関与したさまざまな説があるのですが、中でも有力とされているのが、「知恵を持たない類人猿に、宇宙人が実験を繰り返し人類に進化させた」という考え方です。『旧約聖書』に描かれたアダムとイブの暮らした『エデンの園』はその実験場であり、ネアンデルタール人などの絶滅した旧人類たちは実験に失敗したものだとされています。
『古代宇宙飛行士説』では世界最古といわれるシュメール文明の神々・アヌンナキこそが人類を創造した宇宙人であり、エデンの園があった場所もシュメール文明が栄えたメソポタミアの地としています。「とんだ作り話かでまかせだろう」と思うかもしれませんが、実は、あながちそうとも言い切れないのです。というのも、『旧約聖書』の「創世記」には、エデンに流れる川が4本に分かれ、そのうちの2本がティグリスとユーフラテスだと書かれているのです(創世記2章10節)。
また、シュメール神話には神々が人間に対する罰として洪水を引き起こしたという、「ノアの箱舟」の原型とされる洪水の物語もあり、そこではジウスドゥラという神に仕える神官がノアのように大きな船を造り、動物と人類の種を救います。ユダヤ人は少なくともバビロニアに捕えられた時代にこれらの神話を知る機会があり、旧約聖書の洪水エピソードのモデルにしたというのが通説です。
シュメールは世界四大文明のひとつメソポタミアに含まれるティグリス川とユーフラテス川のふたつの大河に挟まれた地域にあった文明です。その神話には、「神々が行なってきた仕事を肩代わりさせる」ために人間を創造したと記述されています。運河を造り、神殿を建て、畑仕事をし、食物を作る。人間とは、そんな労役を担うために創り出された奴隷のような存在であったのかもしれません。