■年間4万人が訪れる紅葉の名所が実は「魔の山」だった!?
紅葉の季節を迎え、登山やハイキングに出かける人も多いだろう。全国各地に紅葉の名所と呼ばれる山々があるが、その中には「魔の山」と恐れられるものもあるのをご存じだろうか。
群馬県、新潟県の県境に連なる三国山脈を代表する谷川岳。初級者向けの日帰りトレッキングコースから上級者向けの本格的な登山ルートまで様々なコースがあり、最寄りの土合(どあい)駅からのアクセスも良いため年間4万人以上の登山者が訪れる人気の山だ。
しかし、その一方で谷川岳は遭難者の多い山としても知られている。1931年から2020年6月まで死者818名、行方不明者6名を記録。その数はなと世界一で、ギネスブックにも「世界一遭難者が多い山」として登録されている(諸説あり)。
■谷川岳の死者の多さの謎を解くカギは川端康成に?
そう、谷川岳が紅葉の名所と知られる一方で「魔の山」と呼ばれる理由が、この世界でも類を見ない死者の多さ。標高自体は山頂部にあたる双耳峰(そうじほう)のトマの耳で1963m、オキの耳で1977mと、日本の山岳標高ランキングでみても実はトップ100に入らない。
しかし、谷川岳は日本海と太平洋の分水嶺に位置し、天候の変化が非常に激しいため、これにより遭難する登山者が少なくないのだ。ちなみに、川端康成の小説『雪国』の冒頭、
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」
と書かれたのは、谷川岳の直下をくぐりぬける清水トンネルのこと。谷川岳では稜線を挟んで群馬側では晴れていても、トンネルを抜けた越後湯沢や魚沼盆地に大雪が積もっているということがよく起こる。