■太陽寺院(Order of the Solar Temple)

教祖の一人、ジョセフ・ディ・マンブロ。信者から100万ドル以上の金を巻き上げていたとの話や、もともと名うての詐欺師だったという噂も……

/BIZARREPEDIA/Daily Dose of Morbid Curiosity | Bizarrepediaより

 教祖のリュック・ジュレはベルギー領コンゴに生まれ、テンプル騎士団や神秘主義に影響を受けたフランスの宗教団体に所属していたが、1980年代半ばに独立してスイスに移住。もう一人の教祖であるジョセフ・ディ・マンブロの率いるカルト宗教団体と合流し、ニューエイジ思想や環境保護を打ち出して、裕福で教養のある信者を獲得。

 1986年にはカナダのケベック州に本拠地を移転し、太陽寺院(あるいは太陽伝説国際騎士団)と団体名を改称し、伝説のテンプル騎士団の末裔と称した。

太陽寺院はテンプル騎士団の紋章を掲げて、その末裔を称した

/BIZARREPEDIA/Daily Dose of Morbid Curiosity | Bizarrepediaより

 1993年に銃の不法所持で強制捜査を受けるとカナダを離れてスイスに移転。その頃から財政が悪化し、1994年10月、スイスのフリブール州の農家で23人が銃殺された。ほぼ同時期にスイスのヴァレー州の村では、25人が薬物を投与され、焼死。教祖であるリュック・ジレと幹部も死亡した。さらに翌日、カナダの山小屋でも信者5人の死体が発見された。

 1995年12月23日には、フランスで信者16人が焼死体で発見。1997年3月24日にはカナダで信者5人が死体で発見された。

 一連の事件で死亡したのは74人。それまでほとんど知られていなかった「太陽寺院」の名は事件で一気に有名になったが、事件の真相は謎のままだ。

■ヘヴンズ・ゲート(Heaven's Gate)

ヘヴンズ・ゲートの教祖、マーシャル・アップルホワイト。公の場にはほぼ姿を見せず、教団HPから”説教”を配信した。 /教団ホームページより

 1997年3月26日、アメリカのカリフォルニア州サンディエゴを拠点とする宗教団体、「ヘヴンズ・ゲート」の信者38人が集団自殺を遂げた。原因は抗てんかん薬を混ぜたウォッカを飲み、頭からビニール袋をかぶったことによる窒息死だった。

 発見時、遺体の顔と胴には四角い紫色の布がかけられ、ポケットには5ドル札1枚と、25セントコインが入っていた。また、全ての遺体が新品のナイキのスニーカー、「ディケイド」を履いていたことでも話題になった。

ヘヴンズ・ゲートの教団ホームページ

「ヘヴンズ・ゲート」はUFOを信奉する宗教団体であり、教祖のアップルホワイトは集団自殺について、1997年のヘール・ボップ彗星出現とともにやってくる宇宙船に魂を乗せるため、と説明していた。

 2009年4月、ナイキはDUNK HIGH PRO SB「Un-Heaven’s Gate」と題したスニーカーを販売。教団がまとっていた紫色の布をイメージした配色がなされ、現在もネット上では25万円程度の価格で取引されている。

 日本において、「信教の自由」は日本国憲法第20条で保証されているが、オウム真理教の事件以降、どこまでその自由を認めるべきなのか、議論が続けられている。