■身近な街路樹が実はティラノサウルスの大先輩だった⁉

宝泉寺(和歌山県田辺市)の樹齢400年を誇る大銀杏。 /WikimediaCommonより

 先日、こんなツイートが話題となった。

 

海外の人にギンナン勧めるとき、この木の実はペルム紀に出現して、ジュラ紀に世界的に繁茂した超古代の樹木の実で、世界的にはほぼ絶滅したレッドリストの絶滅危惧種のものです。日本ではまだ街路樹としてもりもり生えているから、普通におつまみとして食べてます。というと、めっちゃ写メしだします。

見瑠人@腕鳥。二巻発売中!さんのTweetより


 ギンナン(銀杏)──秋の訪れを告げ、葉の散る時期には冬の到来を感じさせてくれる、日本人にとって最もポピュラーな樹木のひとつ「イチョウ(公孫樹)」の種実だ。殻ごと塩焼きや串もの、茶わん蒸しの具など鮮やかな緑色やモチっと食感で目も口も楽しませてくれる冬の風物詩。

「えっ、アタシの大先輩なんすか!?」と驚くティラノサウルス /ShutterStockより

 またイチョウ自体も、土地を選ばずに成長し、病虫害が少なく、庭園樹、街路樹、公園樹、防風樹、防火樹として、公園や寺院や神社の境内に多く植えられている。そんな身近な植物がペルム紀つまりはシーラカンスと同時期に誕生し、白亜紀生まれのティラノサウルスからしたら”大先輩”にあたる「生きた化石」であることに驚く方も少なくないだろう。

■「史上最大の絶滅」を生き延びたツワモノ

同じペルム紀に生まれたとされる「生きた化石」の代表格シーラカンス。まさかイチョウが”同級生”とは思わなかったでしょ? /WikimediaCommonより

「世界最古の原生樹種」のひとつ、イチョウ。彼ら/彼女ら(雌木雄木あるのでw)が地球上に出現したペルム紀初期は先の表にもあるように2億5000万年以上前で、恐竜や鳥類の出現よりも遥かに古い。しかも「地球上の生物の90~96%が死滅した」という、史上最大の絶滅イベント「ペルム紀末の大量絶滅」を生き残ったツワモノなのだ。

 この大量絶滅を生き抜きジュラ紀に大繁殖、地球上に広まり、現在でも世界各地で葉の化石が発見され、最古の化石は2億9000万年以上前の可能性があるのだとか。ただ、そこまで繁栄したものの、ヨーロッパでは絶滅。日本でも100万年前に絶滅した。

 現在唯一残る種はひとつのみで、原産地は中国とされる。明確な自生地は確認されていないが、中国安徽省宣城市付近に自生していたものが、広まったという説が有力。日本に伝来した時期は諸説あるが、1200年代までは日本に伝来していなかったと考えられている。