■Black Eyed Childrenの歴史と起源

 BEKの起源と歴史については、はっきりとした証拠は存在しないが、現代の都市伝説の中で広く知られるようになった。

 Wikipediaをはじめネット上で多くの場合、最初の報告は1996年にテキサス州の記者ブライアン・ベセルの体験談とされている。このケースでは、2人の少年が家の前に現れ、部屋に入れてくれるように訴えた。この少年たちは、瞳に何も映らない真っ黒な目をしていたという。

 この事件以来、多くの同じような目撃報告が寄せられ、「黒い目の子供たち」の話が広がっていった。インターネットを通じて広まり、コピー&ペーストを繰り返して細部が膨らむネット上の怪談「クリーピーパスタ」の一つとして人気になっていったのだ。

■BECイギリス起源説を主張する専門家も

イギリスにおけるBEC研究の専門家で数々の著作もあるリー・ブリックリー氏。 DAILY STARの記事より

 一方、”イギリスの東スポ”とも言うべきタブロイド紙「DAILY STAR(デイリー・スター)」は、これをさらに10年以上さかのぼる1980年代に、BECがイギリスを騒がせていたと主張している。すでに40年近く前から、イングランド中西部・スタッフォードシャー州に現れた「黒い目の子供たち」が住民たちを震え上がらせたというのだ。

 イギリスにおけるBECの専門家、リー・ブリックリー氏は80年代後半にはスタッフォードシャー州周辺で複数の「黒い目の子供たち」の目撃報告があったと指摘。そもそも、彼の叔母が森の中で黒い目の少女と遭遇し、不幸に見舞われたと語っている。

 さらにリー氏の調査によれば、近年にもこのエリアではBECが出没しているという。2021年6月、森林地帯でキャンプ中だった地元の若者2人がBECに遭遇。しとしと雨の降る深夜、テントの周りで響く少女の笑い声に驚いた二人がテントを出ると、人間離れした動きでテレポートするように動き回る黒い目の少女に出くわしたのだという。

 ここ数年でも目撃例が相次いでいることからも、リー氏やデイリー・スター紙はこのスタッフォードシャー州こそ、BECの”本拠地”だと主張しているのだ。

 

■「黒い目の子供たち」を扱った作品

 アメリカやイギリスでこれだけ広まった都市伝説だけに、創作の世界で取り上げられることも多い。以下、代表的な作品を紹介していこう。

●映画『Black Eyed Children: Let Me In』 (2015)

 この映画は、Black Eyed Children現象について調査するために旅に出る映画製作者の物語を描く。ただし、その内容については賛否両論があり、映画のクオリティには疑問が数多く唱えられている。


●映画『The Blackwell Ghost』 (2017)


 2017年に公開されたホラー映画で、Black Eyed Childrenを含む超自然現象を扱ったモキュメンタリー形式の映画。物語は映像作家のターナー・クレイグが、自身が所有するボストンの古いアパートにおける超自然現象についてのドキュメンタリーを制作するために始めたところから始まる。そして、クレイグが撮影した映像には、アパートに住む人々に起こる奇妙な現象が収められていたのだ──。

●映画『They Live Inside Us』(2020)

 2020年に制作されたホラー映画で、Black Eyed Childrenに関する都市伝説を題材にしている。映画のストーリーは、新しい作品のインスピレーションを求めて、小説家の男性が有名な幽霊屋敷でハロウィンの夜を過ごすところから始まり、突然、Black Eyed Childrenに出会って恐怖と狂気に満ちた世界に引き込まれていく──という筋立てだ。