■不気味な女性客に耳元で警告され……

男と女、愛と憎が渦巻く街だけに怪現象の噂も数多く

/画像:写真AC

「店内に入ると、薄暗い照明でいかにもお化けが出そうでワクワクしました。『いつ幽霊出るの~?』『早く見たい!』と、怖い話なんかもしつつ、お酒を飲んでいたんです。しばらくしたらトイレに行きたくなったんですが、用を足してトイレから出ると、ドアの前にさっきまで隣の席で飲んでいた別の女性客が立っていたんです」

 その女性は深刻そうな顔つきでユリナの顔をじっと見つめてきた。

 そして、顔を近づけて耳元でこう囁いた。

「幽霊が出るとか冗談でも言わないほうがいいよ……」

 そのただならぬ雰囲気に「変なお客さんだなぁ……」とユリナは思ったという。だが、その後、席に戻ると「ありえない光景が広がっていたんです」とユリナは続ける。

■突然、キレだして暴れる女性客の背後に……

「後ろの席で飲んでいた女性客が、ホストに対して急にキレ出したんです。『お前、ふざけんじゃねーよ!』『嘘ついてたのかよ!』などと叫びながら、ホストにグラスやお酒を投げつけていました。どうやら、そのホストの客のようでした。最初はタダの痴話喧嘩かなと思って聞いていたのですが、なぜか急に背中にゾゾっと寒気がしたんです……」

 他の客の席なのであまり見ないほうがいいと思っていたが、背後から来る異様な雰囲気に思わず振り返ったという。

■宙に浮かぶ“首吊り女”の姿が!

「暴れている女の後ろに空中からぶら下がっている女の人が見えたんです。首のところからロープみたいなものが見えて、うらめしそうに目の前でケンカをしているホストと女のことをじっと見つめていました。その光景に思わず私、『首吊り自殺!』と叫んでしまいました。

 それを聞いた私の横で話していたホストが『うちは飛び降り自殺はあったけれど、首吊り自殺はないよ~!』と笑ってるんですよ。じゃあ、私が見ているのは幽霊? でも、誰の幽霊なの⁉と思いましたね」

 怖くなったユリナは「私、用事あるから帰る!」と言い、慌てて店を出た。時間は30分ほど残っていたが、首吊りの女の顔が頭からこびりついて離れなかったという。