■地球を守れ! 正義のローマクラブ爆誕

 70年代、石油がなくなると、ある研究団体が発表、原発の導入が大幅に進んだという経緯がある。みんな忘れているかもしれないが、原発は太陽光発電や風力発電と同じく石油の代替エネルギーとして開発された。だから、資源のない日本には原発がバカスカ建てられているわけだ。

 

 で、「石油がなくなるよ」といったのは「ローマクラブ」という、科学者や経済学者、経営者などが参加し、1970年に設立された民間研究機関だ。


 イデオロギーの影響を受けない中立組織を目指し、世界の持続的発展には何をすべきかを研究する、正義の機関だ。そして、ローマクラブが最初の仕事として1972年に発表したのが「ローマクラブレポート 成長の限界」だ。

1972年の発売当初、日本でも大ベストセラーとなった『成長の限界』/ダイヤモンド社刊

 1970年代といえば、日本を含め、先進国の経済成長がすさまじく、同時に公害もすごかった。水俣病に四日市ぜんそく、イタイイタイ病と、工場から出る化学物質が一般市民を殺し、それが企業利益のためなら黙認されていたという恐ろしい時代だったのだ。

 

 みんなあの時代をすっかり忘れて、「美しい国・ニッポン」なんて寝言を言っているが、ほんの少し前まで東京の多摩川も死の川と呼ばれていた。今は河原でのん気にキャンプをしていたりするが、当時は川に落ちたら死ぬとまで言われていたのだ。

 

 こんなことを続けていて、人間は大丈夫なのか? とみんな薄々気づいていたが、ローマクラブはそれを数字とグラフで見せた。いわゆる可視化というやつだ。

 

■エコ騒動の元ネタはローマクラブ

ローマクラブの創設者、イタリアの経済学者で実業家のアウレリオ・ペッチェイ(右)は第二次大戦中にレジスタンスとして活躍。 画像:Wikimedia Commons

 人間の経済活動が消費する天然資源量が採掘量を上回り、人口増加が食料生産を上回り、環境汚染が地球の浄化能力を越えるポイントが必ず来る。そのポイントを「成長の限界」と呼び、そこで人口も経済も発展が止まり、平衡状態になる。この平衡状態をどの時点にするかで、人類の持続可能かどうかが決まるという。

 

 なんだかどこかで聞いたような話だが、昨今のエコ関連の話題の“ネタ元”はローマクラブが発信源なのだ。

 

 ちなみに、陰謀論者から悪の秘密結社と思われているダボス会議(世界経済フォーラム)は、ローマクラブを念頭にヘンリー・キッシンジャー(注1)とその弟子のクラウス・シュワブ(注2)が作った組織であり、ローマクラブ同様、気候変動対策を大きなテーマに掲げている。

注1/戦前のドイツ生まれの御年100歳になるユダヤ系ドイツ人で、元CIAの国際政治学者でニクソン、ジョンソン、フォード大統領を陰で支え、ロックフェラーの友人で、外交問題評議会とビルダーバーク会議のメンバーと、陰謀論的には数え役満な方。

注2/ドイツ出身の経済学者(工学博士号も)で、ダボス会議の創設者。2021年に「グレート・リセット」を提唱して、陰謀論界隈から「ついに白状したか!」とヤンヤの喝さいを受けたw。当然、その筋からはディープステートの中心メンバーと目されている。