■名古屋最大の繁華街「栄」の激安ホテルへ

名古屋を代表する、日本でも有数の繁華街・栄。

画像:写真AC

 先日、出張で名古屋へ行った。関連サイトの編集担当との仕事があったのだ。担当とは当日に会うことになったが、私は前日に別件の用事が入っていたため2泊することになった。予約したのは栄にあるホテルだ。

 

 栄 とは名古屋最大の繁華街で居酒屋、スナック、キャバクラ、ホストクラブ、ゲイバー、風俗店、外人パブなどが密集している。基本的には歌舞伎町や札幌・ススキノ、博多・中洲と同じく楽しく遊べる場所なのだが、ある一部のエリアは少々危なっかしいらしい。名古屋在住の知人は、

 

「しょっちゅう事件が起こるエリアで、 変死体が見つかるのなんて日常茶飯事だよ」

 

 と語ったが、いくらなんでも遺体が連日見つかるとは‟盛りすぎ”では……。私はそんな栄 に仕事で行くことも多く、これまでに私は何度も泊まっていた。確かに夜になると客引きが道にあふれて物々しい雰囲気はある。だが、名古屋の中心街で1泊4000円という破格のホテルを発見し、私は即決した。

 

■なんだか雰囲気が……

ビジネスホテル

古ぼけてはいるが何の変哲もないビジホと思ったが……

(写真はイメージ)/画像:写真AC

「大丈夫かな、ここ……」

 

 当日、ホテルの前に到着した私は驚愕した。HPに載っていた写真とは打って変わった古びた外観。入口も狭く、外から見てホテルと気づくのに時間がかかった。

 

「いらっしゃいませ。本日から2泊のカワノ様ですね」

 

 テキパキとチェックイン作業を進めるフロントスタッフ。建物が古いだけで、ちゃんとしているかも……と思った次の瞬間、フロントスタッフの口からとんでもない言葉が飛び出した。

 

チェックインの最中に、フロントスタッフから意外な言葉が……

(写真はイメージ)/画像:写真AC

「Wi-Fiが壊れているのでお使いいただけませんが、大丈夫でしょうか?」

 

 ……えっ、いまどきのホテルでそんなことってある?

 

 幸い、パソコンは持ってきていない。仕事するつもりで持ってきてたら、多分キレかけるわ。チェックインを済ませて、部屋のある4階に向かう。廊下が薄暗くてなんだか嫌な雰囲気だなぁ。

 

 部屋に入ると、意外と悪くなかった。古さはあるけれど狭さはない。人によっては汚れを気にするかもしれないけれど、私の中では問題ナシ。だが、出かけようとしたときに私は気づいた。館内に若い女の子の出入りがやたらと多いのだ。最初は客かと思ったのだが、ロビーの人に「ありがとうございまぁ〜す」と言っている。多分、デリヘルだな。

 

 結局、その日は特に何事もなく一夜を過ごした。というよりも深夜1時過ぎまで酒を飲みまくり、泥酔してほぼ記憶がない。

 

■タクシー運転手から奇妙な証言が……

ホテルへ向かう車中、運転手から奇妙な証言が……

(写真はイメージ)/画像:写真AC

 翌日、編集担当と仕事を済ませた後、名古屋市内へと戻ってきた。この日は担当も名古屋で1泊して飲みに行く約束をしていた。

 

「飲みに行く前にホテルにチェックインしてきたらどうですか?」

 

 東京から直接、現場に来た担当に先にチェックインするように言う。担当も栄にあるホテルを予約していたそうだ。

 

「じゃあ、そうしようかな。ホテルはすぐ近くだよ。名前は確か……〇〇ホテル」

 

 ……〇〇ホテル。どこかで聞いたような……って、同じホテルやないか!!

 

 なんと、打ち合わせもしていないのに2人ともまったく同じホテルを予約していたのだ。理由を聞くと「一番安かった」からという。私とまったく同じ理由ではないか。それなら話は早い。私も一旦、部屋に戻りたいので、担当のチェックイン後にロビーで待ち合わせることにした。早速、タクシーに乗り込み、年配の運転手に行き先を告げる。

 

「〇〇ホテル? 聞いたことないなぁ~」

 

 ……あんなに目立つ場所にあって年季が入ってるホテルなのに? 道を説明しながら向かう道中、運転手が思い出したように声をあげた。

 

「ああ、あそこのホテルね! 3回ほど名前変わってるから思い出せなかったよ!」

 

 ……えっ、何その話。何かあったんですかね?

 

「う~ん……詳しくは分からないけれどね」

 

 そう言って急に言葉を濁すタクシードライバーの態度に、モヤモヤした不安を感じながら私たちはそのホテルへと向かった──。

 

【何やら怪しいビジネスホテルで遂に怪異が!──その詳細は後編にて/10月29日公開】