■日本発祥の宝探し「マグネットフィッシング」
昭和の時代には、2本の曲がった棒を使って地下水や貴金属の鉱脈などを探す「ダウジング」と呼ばれる手法がブームとなった。また、TBSのバラエティ番組『ギミア・ぶれいく』で糸井重里を隊長にした徳川埋蔵金プロジェクトが放送されるや大人気となったのを覚えている読者もいるだろう。
また最近でも、やはりTBSの人気番組『クレイジー・ジャーニー』で、徳川埋蔵金や天草四郎の埋蔵金を追い続けるトレジャー・ハンターの第一人者、八重野充弘氏が特集されるなど、「宝探し」はいつの時代でも人々の心を惹きつける。
そんな夢追い人たちに現在人気なのが「マグネットフィッシング」だ。これは、1984年に住友特殊金属が発明した強力な永久磁石、ネオジム磁石を使い、川や湖、海などから金属類を引き上げる手法のこと。ネオジム磁石とロープさえあれば誰でも挑戦できるため、YouTubeには「マグネットフィッシング」に励む動画が大量に公開されている。
ただし、釣り上げた「釣果」を自分のものにしていいのか、については警察や自治体などの確認が必要だ。ドイツでは許可証がないと罰金が課せられ、イングランドとウェールズでも罰金を課せられる可能性がある。ポーランドでは政府許可証なしにマグネットフィッシングをすると、最高2年の懲役刑になる可能性があるという。日本でも「遺失物横領罪」で1年以下の懲役、または10万円以下の罰金となるのでご用心を。
■約1500万円を釣り上げた幸運なカップルも
マグネットフィッシングでは、大抵の場合、大量のゴミを回収することになる。だが、金庫、コイン、財布などのお宝をヒットした幸運な「釣り師」も少なくない。
たとえば、つい最近の2024年6月、アメリカでカップルが日本円で1560万円相当の泥だらけの札束が入った金庫を発見し、話題を呼んでいる。2人は「家族5人が暮らせる自宅の購入費にしたい」とメディアに語った。なんとも羨ましいハナシである。
日本ではバブルがピークの1989年、川崎市高津区のたけやぶから約2億円の現金が発見されて話題を呼んだことがある。この金は、持ち主が名乗り出て、「脱税した金だった」と説明。幸運なアメリカ人カップルの一件も、犯罪性はないのかが気になるところだ。