対馬の日の出
数々のミステリーが囁かれるマジカルアイランド対馬に上陸したのは、なんと……。 (写真はイメージ)画像:shutterstock

 九州と朝鮮半島のあいだに位置し、古代から続く長い歴史で知られる長崎県・対馬島。また、歴史以上に有名なのは対馬に点在する数々の不思議スポット。いにしえの伝説から歴史ミステリー、怪談、妖怪、怪談、都市伝説となんでもござれ。電脳奇談読者なら一度は行きたいマジカルアイランドだ。

 

 そして、そんな対馬でも最恐スポットとして名高いのが禁足地「オソロシドコロ」。名前からして寒気がするスポットに人気YouTuberが突撃したということで、夜街怪談の筆者、カワノアユミがインタビューを敢行。

 

 まずはマジカルアイランド対馬とオソロシドコロの基礎知識から──。

 

■旅系人気配信者が対馬で… 

 

500万再生を超える大ヒット動画が連発の人気旅系YouTuber「EXIT JACK」

 

 人気旅系YouTuber「EXIT JACK」。スラム街や裏ナイトスポット、心霊スポットといった、観光客が決して足を運ばないディープな場所を紹介し、現地のリアルな状況や文化の裏側を伝えている。その中心人物がマンペー氏だ。 

 

 彼自身は「霊感はない」と語るが、数々の“異常現象”に遭遇してきたことで、その動画には常にリアルな恐怖が滲み出ている。 

 

 今回、そんなマンペー氏が訪れたのは、長崎県・対馬。韓国・釜山へフェリーで渡るために立ち寄ったこの島で、住民から「決して近づくな」と言われている禁断の地――通称「オソロシドコロ」に足を踏み入れることとなる。 

 

 

■禁足地「オソロシドコロ」とは? 

 

蒙古襲来絵詞

対馬の歴史で有名なのは多くの島民が犠牲となった元寇(げんこう)。この悲劇にまつわるミステリーも島の各地に伝わる(蒙古襲来絵詞より)

画像:Public Domain via Wikimedia Commons

 対馬は朝鮮半島に近いため、古来より複雑な歴史を背負ってきた島だ。豊かな自然に恵まれている一方で、「夜に入ると帰れなくなる谷」など、土地に根付いた怪異の噂が数多く存在する。 

 

 なかでも“本当にヤバい”と語り継がれているのが、島の南端に位置する豆酘(つつ)地域に位置する「オソロシドコロ」と呼ばれる一帯だ。 

 

 これらの場所は正式な地図には載っておらず、地元の人々のあいだで密かに受け継がれてきた通称である。マンペー氏もまた、レンタカー店の女性スタッフから「呪われるレベル」として忠告を受けたという。 

 

対馬の日の入り

オソロシドコロの源流は島独特の「太陽信仰」にあるという──。

画像:shutterstock

 

 本来のオソロシドコロは、数々の奇跡を起こし対馬で崇拝される行者・天道法師(てんどうほうし)にまつわる、龍良山(たてらやま)周辺に広がる聖地であり、主に以下の3か所が中心とされる。 

 

表八丁郭(おもてはっちょうかく):天道法師の墓所と伝わる石積みの遺構。 

裏八丁郭(うらはっちょうかく):天道法師の母の墓とされる場所。 

不入坪(いらぬつぼ):多久頭魂神社(たくずたまじんじゃ)の境内にある禁足地。 

 

■恐怖ではなく畏れ敬うべき聖地 

 

 かつてこれらの場所に誤って立ち入ってしまった際には、自分を人間と悟られないように「犬の子(インノコ)、犬の子…」と唱えながら後ずさりし、退出しなければならないという風習があった。 

 

 20年以上前にフジテレビ「奇跡体験アンビリバボー」で放映された、今に生きるこの奇妙な風習の、衝撃的なシーンを覚えている方もいるだろう。また最近でも、2023年にオカルト研究家の吉田悠軌(よしだゆうき)氏がTBS「クレイジージャーニー」で、潜入取材を行なっている。 

 

 なお、「オソロシドコロ」という名称は、「恐ろしどころ」とも表記されるが、これは単に恐怖を意味するのではなく、神聖さや畏敬の念を込めた「畏ろしどころ」と解釈されることが多い。 

 

 地元の人々にとっては、1000年以上続く信仰の聖地。対馬に限らず神域というものはうかうかと踏み込んではならない「畏れ敬うべき場所」だ。その意味ではオソロシドコロも決して特殊な場所ではない。 

 

 ただ、その一方で、オソロシドコロには、日本国中の神域、禁足地と比べても特異な点がある。それは、人々の口を通して語られてきた“異様な話”が驚くほど多いということだ──。 

 

■禁足地にまつわる怪談の数々 

 

姫神山砲台跡地

島に点在する軍事施設の跡にも怪現象の噂が……。

画像:shutterstock

 オソロシドコロにまつわる「本当にあった怪談」として語られるものには、一例を挙げるだけでもこんなものがある。 

 

・昭和の終わり、若者たちが肝試し中に一人が行方不明になった。 

・軍事施設の名残とされる地下壕の入口が見つかるが、内部は封鎖され今も誰も入れない。 

・谷に入るとGPSが狂い、方角がわからなくなる。 

・参拝後に体調を崩す者、白い影が写り込む写真などが報告されている。 

・夜になると草むらの奥から「たすけて…たすけて…」という女の声が聞こえる 

 

 もちろん、なかには単なる自然現象や錯覚で片づけられるものもあるだろう。よく聞く実話怪談をオソロシドコロに舞台を移しただけのものもあるかもしれない。ただ、実際に訪れた人の中には、帰宅後に高熱を出したり、原因不明の嘔吐が止まらなくなった者もいるという。 

 

トンネル
次回インタビューではEXIT JACKが突入した「対馬でもっともヤバいトンネル」も紹介する(写真はイメージです)。 画像:shutterstock

 当然のことながら、地元役場に確認しても、こうした怪異や不審な施設の記録は一切「存在しない」とされている。記録が残されず、すべてが闇に埋もれている。それこそが、オソロシドコロの真の怖さなのかもしれない。 

 

 オソロシドコロ──そこは単に怪異が起こる地ではなく、「人の理屈が通用しない場所」なのか……。そんな噂が渦巻く場所に、カメラを持って突入したEXIT JACK。 

 

 近日公開予定の後編では実際に現地へ入ったマンペー氏へのインタビューを通じて、その地で何が起こったのかが明らかになる予定。乞うご期待!

 

※「EXIT JACKって?」「マンペーさんってどんな人?」と気になった方は、こちらをご覧あれ。