■中東の審判(イラン以外)に共通する傾向

 さて、話題はディエゴ・オリヴェイラの負傷に戻るが、秦昇のタックルは一発退場が当然のプレーだったにもかかわらず、実際には警告が与えられただけで済まされてしまった。

「簡単な接触でもすぐに笛が鳴り、反面、ラフプレーには甘い」という中東の審判の判定基準に、今回の大会でも日本のクラブはかなり悩まされている。

 もちろん、判定基準が異なるというのは国際試合では当然予想されることだ。
「軽度の接触なら多少のファウルがあってもプレーを続行させる」という最近のJリーグの判定基準は、プレー強度を上げていこうという目的を持っており、“フットボールの本質”ということを考えれば方向性としては正しい。しかし、世界中の審判がそのような意識を持って笛を吹いてくれるわけではない。とくに、イランを除く中東の審判は接触して選手が倒れるとすぐに反則の笛を吹く傾向がかねてから強かった。

 国際試合となると、どうしてもJリーグの基準とはズレてしまうわけである。

 その結果、先日の『サッカー批評』のコラム「コンタクトプレーのジレンマ」の中で大住良之さんが指摘されていたように、日本のDFがつい「この程度なら」と手を使って反則を取られてしまうといった問題も起こるし、正当なチャージでボールを奪い切ったと思った瞬間に笛が鳴るといったことが頻発する。

 しかし、判定基準が違うのは仕方のないことであり、それについて文句を言っても無益なことだ。

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