■かつては対戦拒否も頻発していた

 事前にそうしたレフェリーの癖を分析・把握しておくことが大切だし、試合が始まってからでもいち早くその日のレフェリーの基準に順応して対応する必要がある。極端に言えば、レフェリーの癖を理解して、それを利用してFKやPKを取るくらいの狡猾さが必要となる。多くの選手がアジアの審判の傾向をピッチ上で経験すること。それこそが、ACLという大会の最大の意義の一つとさえ言っていい。

 しかし、ディエゴ・オリヴェイラが受けたような悪質タックルは選手生命にも関わることなのだから、そのようなラフプレーが野放しにされるということは判定基準の問題とはまったく異質の問題なのだ。この点に関してはクラブが抗議するだけでなく、日本サッカー協会としてもアジア・サッカー連盟(AFC)に対して強硬に申し入れをすべきなのではないだろうか。

 半世紀ほど前、インターコンチネンタル・カップ(“クラブ世界一”を決めるために行われていたヨーロッパ・チャンピオンズカップ優勝チームと南米のコパ・リベルタドーレス勝者の対戦)で勝敗にこだわるアルゼンチンのクラブがラフプレーを繰り返したため、ヨーロッパ代表となったクラブがインターコンチネンタルカップ出場を拒否する事態が続出し、インターコンチネンタル・カップが開催できなくなったことがあった(その結果として中立国である日本での対戦が組まれて「トヨタカップ」が開催されるようになったのだから、日本はアルゼンチンのクラブに感謝しなければならないのだが……)。

 そんなことすら思い出してしまった。

※第2回に続く

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