■チェ・ウシク演じるチェ・ウンというキャラクターが心地よい

 チェ・ウシクが演じているのは天才的な画風を持ったイラストレーターのチェ・ウンで、キム・ダミが扮するヨンスの高校時代の同級生だった。

 そして、学年で成績トップのヨンスとビリのチェ・ウンがあえて教室で席を並べる。高校生の学園生活を描く意欲的なドキュメンタリー番組で、2人は主役になったからだ。そして、ドラマではその10年後が描かれていく。

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 チェ・ウンは不思議なキャラクターだ。変な上昇志向がない。何よりも人間が素直だ。しかし、5年間恋人同士として付き合ったヨンスから突然別れを切り出されて、それ以来、精神的に深い傷を負ってしまった。そういう場合、チェ・ウンは相当にひねくれた性格になりそうなのだが、実際にチェ・ウシクが演じていくと、「なんとかやっていけるのではないか」といった雰囲気になる。

 もちろん、脚本家は主人公に多様な感情を織り込もうとするし、主人公ともなると感情の起伏が大きくなって当たり前なのだが、チェ・ウシクはいつのまにかチェ・ウンを何でも素直に受け取れる人間に変えてしまっている。それゆえ、チェ・ウンに感情移入していくと、どことなく心地よい。そういう意味で、たとえ悲しい場面が続いても、『その年、私たちは』はわりと落ち着いて見ていられてありがたい。