2月から配信がスタートした韓国ドラマNetflixシリーズ『未成年裁判』が韓国ではもちろん、日本や世界各国で話題になっている。未成年の犯罪の裁判という重いテーマを扱った社会派ドラマだが、Netflixの日本国内ランキングTOP10でも連日上位に入り、観終えた人は「見ごたえがあった」「面白かった」と口を揃える。はたして、このドラマの面白さはどこにあるのだろうか。

■実際に起きた事件をモデルにした、心抉られる切実な社会派ドラマ

 物語は、キム・ヘス演じる女性カリスマ判事のシム・ウンソクが、未成年の若者や子供たちの犯罪件数が多い街に赴任してきたことから始まる。未成年たちが非行に走る背景にある社会的な問題に気づいた判事は型破りな判決を下し、次第に周囲を巻き込んでいく……。

 韓国と日本の両国で映像関係の仕事に長年携わる、コンテンツ・プロデューサーの尹勝鏞(ユン・スンヨン)氏は、このドラマについて語る。

「劇中の全てのエピソードは実際に韓国で起きた事件をモデルに構成されていて、韓国人にはより切実な話として感じられるのではないでしょうか。犯罪者と被害者、事件を裁く側のどちらにも偏ることない冷静な描き方をしていることによって、犯罪の本質に近づいていると思います。

 ショッキングな事件の背景にある家族の問題、世代間の問題、階級差による問題、それらの根源に社会全体の矛盾があることがわかります。同時に、登場人物たちが法律の限界を悩みぬいたセリフで語ることで、観る側も深く考えさせられるのです。法律の本来の目的と運用の難しさ、信念と現実のギャップから生じる苦しみを、絶妙な距離感で丁寧に描いているところが、力のある作品になっているのだと思います」(ユン氏)