イ・ビョンホン(ドンソク)、チャ・スンウォン(ハンス)、イ・ジョンウン(ウニ)。4月からスタートした済州島が舞台の韓国ドラマ『私たちのブルース』の主要人物を演じる俳優には共通点がある。じつは3人とも1970年生まれだ。みな50歳を超えている。
チャ・スンウォン扮するハンスは銀行の支店長だから、役年齢もそれくらいと見ていいだろう。
■イ・ビョンホンとチャ・スンウォンの年相応な役柄に好感
このドラマでまず好感をもったのが、イ・ビョンホンとチャ・スンウォンの加齢がしっかり描かれているところだ。先日完結したドラマ『二十五、二十一』で高校生を演じた女優キム・テリ(1990年生まれ)がいい例だが、名優たるもの実年齢プラスマイナス10歳くらいはあたりまえのように演じるため、この二人の美男はずっと年齢不詳だった。しかし、本作では容赦のないアップで目元のたるみやしわを見せてくれるので、同世代としてはなんだかホッとする。
イ・ビョンホンは、『我が心のオルガン』の田舎教師、『JSA』の兵士、『グッド・バッド・ウィアード』の殺し屋、『悪魔を見た』の復讐鬼、『アイリス THE LAST』の諜報員、『エターナル』の証券会社支店長、『KCIA 南山の部長たち』の大統領腹心など、都会的なインテリ風を多く演じてきた。
そんなイ・ビョンホンに本作があてがったのはなんと万物商(マンムルサン)。トラックに生鮮食品や金物、工具などを満載して僻地や離島を回る行商人である。
運転中、トラックのスピーカー越しに聞こえるイ・ビョンホンのアナウンス、「コドゥンオ~(サバ)コドゥンオ~」「スンドゥブ~スンドゥブ~」「ペンチ、マンチ(とんかち)、ドライバー コングイルチェ~(工具一式)」には笑いを通り越して感動してしまった。愛をささやかなくても美声は美声なのである。
モデル出身の美男&高身長俳優チャ・スンウォンは、ドラマ『最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン〜』(2011年)のトップスター役で日本でも知名度を上げた。『ジェイル・ブレーカー』(2002)や『ぼくらの落第先生』(2003)などに出ていた頃はギラつきが鼻についたが、本作の疲れた銀行支店長役はなかなか色気がある。