■勝者ウニ(イ・ジョンウン)、敗者ハンス(チャ・スンウォン)
『パラサイト 半地下の家族』の家政婦役をはじめ、個性的なアジュマ役を演じ続けてきた遅咲きのスター、イ・ジョンウンは、本作ではその極め付けといえる済州の魚屋の女将役だ。ケンカ相手の男性に、大阪の「耳の穴から指突っ込んで奥歯ガタガタ言わしたろか」に負けない韓国のヨク(悪口)をぶつける姿には爽快感すら覚える。
しかし、イ・ジョンウン扮するユニはただの魚屋ではない。済州市や西帰浦市の市場の鮮魚店5軒とカフェを経営し、12億9000万ウォンを保有する経済的勝者である。対するハンスは銀行の支店長で表向きはエリートだが、じつは借金まみれだ。
都会に出て行ったが情けない姿で帰郷したハンス。地元に根を張りしっかり稼ぐウニ。この対比がドラマ『マイ・ディア・ミスター』でも描かれていた都会人の自信喪失と疲弊を表していて興味深い。ソウルで暮らしている者にとっては身につまされる設定である。
しかし、物語は早くもウニの財産が一寸先は闇であることを匂わせている。これから見たくないものを見せられる可能性は大だが、めげずにこの大人っぽいドラマを注視していきたい。
(つづく)
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