先日の第58回「百想芸術大賞」映画部門で、『キングメーカー』が監督賞(ビョン・ソンチャン)、男性助演賞(チョ・ウジン)を受賞。そして、主演のソル・ギョングが最優秀男性演技賞を受賞した。

 大統領選挙に挑むキム・デジュンと、その選挙参謀を務めたアム・チャンロクの実話をもとにした同作。大統領候補役をソル・ギョング、参謀役を『パラサイト 半地下の家族』で社長に扮したイ・ソンギュンが演じている。

 私は90年代末からの熱烈なソル・ギョングファンなので、久しぶりに彼の晴ればれとした顔を観ることができ、とてもうれしかった。彼と私は同い年なのだ。

画像:『キングメーカー』韓国版ポスター

■ソル・ギョングの全盛期

 今、韓国のトップ俳優は?

 と問われれば、多くの人がソン・ガンホと答えるだろう。2020年の米国アカデミー作品賞他を受賞した『パラサイト 半地下の家族』での演技は説得力抜群だった。

 しかし、日本で韓国映画が存在感を示した1999年頃を振り返ってみると、当時のトップは「興行の保証手形」と呼ばれたハン・ソッキュ(1964年生まれ)だった。それに続くのがソル・ギョング(1967年生まれ)、その次がソン・ガンホ(1967年生まれ)という印象だ。

 この時期の二人の活躍を見てみよう。

 ソル・ギョングは2000年の『ペパーミント・キャンディー』『燃ゆる月』、2002年の『オアシス』『ジェイル・ブレーカー』で表現者として高く評価され、興行も成功に導いた。

ソル・ギョング主演『ペパーミント・キャンディー』のハイライトシーンが撮影された堤川(忠清北道)の鉄橋

 同じ時期、ソン・ガンホは1999年の『シュリ』ではハン・ソッキュ、チェ・ミンシク、キム・ユンジンらの脇役。2000年の『反則王』で初の主役。同年の『JSA』の演技は高く評価されたが、イ・ヨンエイ・ビョンホンと同列の扱いだった。

筆者は2000年、釜山の釜山劇場で『JSA』を鑑賞。絵看板は左からイ・ビョンホン、イ・ヨンエ、ソン・ガンホ