■ソル・ギョング 対 ソン・ガンホ

 ソル・ギョングとソン・ガンホが「トップ俳優」を印象づけたのは2003年の『シルミド/SHILMIDO』と『殺人の追憶』だ。その前年にハン・ソッキュが『二重スパイ』の興行的失敗で後退していたため、世代交代(年齢は3、4歳違いだが)が進んだのは明白だった。

ソル・ギョング主演『シルミド/SHILMIDO』の舞台、実尾島に渡ったときに撮った看板写真。上は隣の舞衣島で撮影されたドラマ『天国の階段』(クォン・サンウチェ・ジウ主演)

 2強時代が続くかと思われたが、ソル・ギョングは2004年の『力道山』で失速。そこから十数年、『TSUNAMI─ツナミ─』が興行的に成功したり、『殺人者の記憶法』の演技が評価されたりしたものの、彼らしさを見せ続けることができたかと言うと疑問である。ファンだからこその苦言だが、私は停滞期だと思っている。

 一方、ソン・ガンホは2006年の『グエムル  漢江の怪物』の大成功で、単独トップを印象づける。その後も、『シークレット・サンシャイン』(2007年)、『グッド・バッド・ウィアード』(2008年)、『義兄弟 SECRET REUNION』(2010年)、『弁護人』(2013年)、『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年)などで、10年以上ソン・ガンホ時代を印象づけている。

 2強時代は短く、我らがソル・ギョングはソン・ガンホに大きく水をあけられたかっこうだ。次回はソル・ギョングがなぜ長らく彼らしさを発揮できなかったのか考えてみたい。

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