■怒りのヨルムククスの味は?

 インジュは大根の若菜のキムチを料理に生かしておきながら、次女にこんなことを言う。

 インジュ「キムチ、捨てておいてと言ったのに」

 インギョン「忘れてた」

 インジュ「腹が立つほど美味しそう」

 二人とも美味しい美味しいと言いながら麺をすすり込んでいるのに、言葉にトゲがある。その揚句、残ったキムチは捨ててしまおうと言う。美味しいヨルムククスができたのになぜ?

■オモニ憎けりゃキムチまで

 そのヨルムキムチは数日前、三女の修学旅行の費用を持って外国に逃げた母親(パク・ジヨン)の置き土産だった。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いということか。母は性悪だが、よく漬かったキムチに罪はない。憂いなく食べてほしかったはずだ。

2017年の9月後半、鍾路3街の大衆食堂で撮った写真。右下の黄色い短冊に、「さわやかなヨルムククス、4000ウォン」と書いてある

 我が国ではヨルムククスは夏から秋にかけてよく食べる。辛味・酸味・苦味が調和したヨルムキムチと辛酸っぱいソースがからんだ麺は今の季節にぴったり。キュウリは口直しに活躍する。

 今年の日本の夏は例年をはるかに上回る猛暑だったと聞いた。季節の変わり目で食欲のない人は、キム・ゴウンよろしくヨルムククスを召し上がってもらいたい。もちろん、憂いのスパイスは抜きで。