韓国エンターテイメント・ナビゲーター・田代親世と、『韓国TVドラマガイド』チーフエディター・高橋尚子が、ディープな韓流知識をもとに毎日更新中のYouTubeチャンネル「ちかちゃんねる 韓流本舗」。新着動画から気になる話題をピックアップ!

韓国ドラマあるある「記憶喪失」は演技力が命!切ない系から笑える名作まで

 韓ドラの代名詞ともいえる“記憶喪失”。どちらかが愛の記憶を失うことで物語がドラマチックに繰り広げられていくある種の装置で、いつ気づくか、どうやって戻るか、見ている方もハラハラさせられ、目が離せなくなるのだ。とはいえ、記憶喪失とひとえにいっても、パターンはひとつではない。

 そこで、今回は記憶喪失を「切ない系」「犯罪系」「笑える系」「番外編」にカテゴライズ。それぞれの代表的作品とその魅力、昨今の記憶喪失の傾向を分析した。

■記憶喪失「切ない系」

★代表例『冬のソナタ』『天国の階段』『太陽を抱く月』『ラストダンスは私と一緒に

 記憶喪失の定番パターン。記憶を失った相手との再会に「似ているけれど、あの人かしら」と心を揺らし、記憶を失っている方も、なぜかわからないが本能が相手を覚えていて、どうしても気になってしまうという展開だ。

 真実を知っている第三者(恋のライバルや家族)が2人の恋を阻むため、容易に正体が気づかれないというのも定番。結局は、記憶を失っても再び愛してしまう“宿命”に涙させられる。これぞ韓ドラである。

 最近はこの王道パターンが少なくなり、物語の中盤以降に愛を確認し合う装置として、短期間、記憶喪失になるケースが増えている(『シークレット・ガーデン』『紳士とお嬢さん』など)。

■記憶喪失「犯罪・トラウマ系」

★代表例『黒い太陽~コードネーム:アムネシア~』『被告人』『犬とオオカミの時間』『イルジメ〔一枝梅〕』

 愛する人の殺害現場を目撃したなど、尋常ではない衝撃的事件によるトラウマで記憶を失ったケースも、韓ドラではよく出てくる。

『黒い太陽』の主人公で国家情報院エース要員ジヒョク(ナムグン・ミン)は、ある理由によりわざと自分を記憶喪失にする、という複雑な設定。『被告人』の主人公ジョンウ(チソン)も妻を殺した罪を着せられ、事件当日から4カ月間の記憶を失い、ことあるごとに事件当日まで記憶が戻ってしまう。

 このパターンは、サスペンスや復讐劇に多く、設定も非常に込み入っている。

 イ・ジュンギが主役を務めたサスペンスロマンスの傑作『悪の花』も、夫婦愛と過去の連続殺人事件に記憶喪失までが絡み合い、物語がスリリングに展開していく。

 本作では、主人公(イ・ジュンギ)が幼少期の記憶を失っているうえ、物語後半にはある衝撃的出来事により記憶喪失となり、夫婦の愛が試されることに。ネタバレになるので詳しくは書かないが、“大切なものは何か”を気づかせるのに、記憶喪失ほど有効な仕掛けはないことを証明するような結末になっている。

『悪の花』画像提供:tvN