■『オ・ヘヨン』の見どころ、名脚本家が生み出した愛すべきキャラクターたち

『また!?オ・ヘヨン~僕が愛した未来~』の最大の見どころは、『私の名前はキム・サムスン』を彷彿させるヒロイン(でも愛らしい)のオ・ヘヨンと、気難しく素直になれないワケあり男(でも優しい)のパク・ドギョンという魅力的な主人公カップルだ。2人の部屋が壁の小さなドアから行き来可能な隣室という胸キュン設定に加え、ドギョンの脳裏に繰り返し浮かぶオ・ヘヨンの映像とその謎に、序盤からぐいぐい惹き込まれる。

 有能だが、こだわりが強く頑固者の主人公、映画音響監督ドギョンに扮するのはエリック(SHINHWA)。1979年 2月 16日生まれで、1998年にアイドルグループSHINHWA(神話)でデビュー後、俳優としても長く活躍する元祖“演技ドル”だ。

 ドギョンは職業柄、音に敏感で、隣室のオ・ヘヨンにも文句を言いながら、窮地を察すれば突然助けに来るなど、男気を見せる。無口で不器用だけど心優しいキャラクターを、美男子のエリックが演じることで魅力が何倍にも増している。“壁キス”をはじめ、ときに熱く、ときに可愛いキスシーンの数々にも心射抜かれること必至だ。

 ヒロインのふつうのオ・ヘヨンに扮するのはソ・ヒョンジン。1985年2月27日生まれで、彼女もアイドルグループのM.I.L.K.出身。人気シリーズ『ゴハン行こうよ2』の食べっぷりがいいヒロイン役で注目を集め、本作のオ・ヘヨン役でも、美人ではないけれど、よく食べよくしゃべる等身大のヒロインを好演し、大ブレイクした。

 ソ・ヒョンジンは本作の後、『浪漫ドクター キム・サブ』『愛の温度』『僕が見つけたシンデレラ~Beauty Inside~』『君は私の春』など、幅広いジャンルのドラマで活躍。最新主演作『なぜオ・スジェなのか』は2023年1月1日(日)からPrime Videoにて見放題独占配信される。ソ・ヒョンジンはヒロインの敏腕弁護士役で、年下の謎の学生役にはファン・イニョプが扮する。

『オ・ヘヨン』は名脚本家パク・ヘヨン作品だけあって、主役カップル以外の登場人物も皆、個性的で一癖も二癖もあるキャラクターが揃っている。

 なかでも、ドギョンの姉でヘヨンの上司でもある独身の変わり者パク・スギョン(イェ・ジウォン)と、ドギョンの親友で弁護士のイ・ジンサン(キム・ジソク)との奇妙な関係からは徐々に目が離せなくなる。お調子者で女性問題を起こしてはドギョンの家に駆け込むジンサンだが、そこには酔っぱらったスギョンがいて……という設定だ。

 バラエティ『脳セク時代』などで知的で穏やかなイメージがあったキム・ジソクだが、本作では軽薄なキャラクターをユーモラスに演じていて、新たな魅力を発揮している。

『また!?オ・ヘヨン~僕が愛した未来~』画像出典:tvN

 ドギョンの元婚約者の“美しい”オ・ヘヨンによるハラハラ三角関係や、ドギョンと姉弟たちの関係など、脇の物語にもじわりとさせられる。いっぽうで、名脇役女優、キム・ミギョン扮するヘヨンの母親が見せる娘を思う母心にも、ほろりとさせられる。

 ドギョンの脳裏に繰り返し浮かぶ予知映像の謎など、ストーリー展開も巧妙だ。

 すべての出来事がつながり、思わず泣かされて、でも爆笑するシーンもいっぱいの傑作ロマコメ『オ・ヘヨン』。未見の方も、久しぶりの方も配信を機会にぜひ観てほしい。