名匠パク・チャヌク監督の映画『別れる決心』で青龍賞主演男優賞を獲得し、韓国映画界で注目されているパク・ヘイル。少ないセリフで静謐な存在感を示す稀有な俳優だ。

「代役が成立しない個性派俳優」とか、「女優が共演したがる俳優ナンバーワン」などともいわれる"静寂のカリスマ"、パク・ヘイルの主演した映画(2006年以降)を振り返りながら、その魅力を再確認していこう。

パク・ヘイル&シン・ミナ主演映画『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』の一場面 

写真提供:A PEOPLE ©2014, LU FILM & INVENT STONE

◼️酒浸りのダメ男を演じた『グエムル 漢江の怪物』

 ポン・ジュノ監督作『グエムル 漢江の怪物』(2006年)で、パク・ヘイルはそれまでの物静かな役柄から一変。

「(民主化運動で)国のために頑張ったのに、どこもオレを雇ってくれない」

 とグチりながら、酒浸りの日々を送るダメ男を好演した。

 兄(ソン・ガンホ)の娘(コ・アソン)を救うために、民主化運動で使い慣れた火炎瓶で怪物に挑むが、結局、おいしいところを妹(ペ・ドゥナ)に持っていかれる場面で、筆者はパク・ヘイルにハートを奪われた。彼の映画史のなかでもセリフにヨク(罵倒語)の多い稀有な作品だ。

◼️キム・ゴウン主演『ウンギョ 青い蜜』では特殊メイクで老人役に

『国際市場で逢いましょう』のファン・ジョンミンなみに無理がある老け役特殊メイクを施したパク・ヘイルが、女子高生とただならぬ関係になるという怪作『ウンギョ 青い蜜』(2012年)。女子高生にはキム・ゴウン(『トッケビ~君がくれた愛しい日々』『ユミの細胞たち』『シスターズ』)が扮する。

 老いと欲望の狭間で苦悩する男性を演じたパク・ヘイルと、初々しいキム・ゴウンのコントラストはみごとで、タイトルから連想されるような映画ではないとだけは言っておきたい。